2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連有機分子に応答して色変化する分子認識ガラスの創製
Project/Area Number |
12750727
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
桑原 哲夫 山梨大学, 工学部, 助手 (70273034)
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Keywords | 分子認識 / 色変化 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
本研究は,ホルモンや薬物などの生体関連有機分子を認識して色変化する分子認識ガラスの開発を目的としている。 初年度は,新規な分子受容体の合成と溶液中における吸収スペクトル特性について検討した。具体的には,環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CD)の一級水酸基の一つがアミノ化されたモノアミノ化CDとヒドロキシアゾベンゼン系の単位を有する色素をDCCを用いるカップリング反応により,色素修飾CD(D-CD)を合成した。生成物の確認は,TLC,元素分析,NMRにより行った。 重水中におけるD-CDのNMRスペクトルは,CD環のグルコース単位のアノマーが大きく分裂していた。この事実は,CD環が歪んでいることを示しており,修飾した色素単位がCD空洞内に取り込まれた自己包接型構造をとっていることが予想される。一方,pHに対するD-CDの吸収スペクトル変化を調べたところ,酸性では345nmに極大吸収を示す無色,アルカリ性では450nm付近に幅広い吸収帯を示す黄色となった。等吸収点は,264,289,385nmに観察され,pKaは8.00であった。これは,D-CDの色素単位が酸性ではフェノール型,アルカリ性ではフェノラートアニオン型の構造をしていることを示している。ゲスト存在下でもpHによる同様な色変化が観察されたが,pHが6.00以下,或いは,10.00以上において,D-CDのモル吸光係数がゲスト不在下のそれと異なっていた。 今後,D-CDのゲスト添加に伴う溶液の色変化特性を調べ,D-CDの分子認識能について検討する。特に,ゲスト分子に生体関連有機分子を用い詳細に検討する。そして更に,ガラス基盤上にD-CDを固定化し,ゲスト添加に伴うガラスの色変化を実現させ,この分子認識能を調べ溶液の系と比較する。
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