2001 Fiscal Year Annual Research Report
X線光電子分光法と固体NMR法による酸化物ガラス中の硫黄の状態分析
Project/Area Number |
12750746
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
朝日 太郎 新居浜工業高等専門学校, 材料工学科, 助手 (70270353)
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Keywords | 硫黄 / オキシスルフィド系ガラス / X線光電子分光法 / ^<29>Si, ^<11>B MAS-NMR / ポリスルフィドイオン |
Research Abstract |
オキシスルフィド系ガラスは、通常の溶融急冷法で系内に多量に硫黄を含有する事ができる系として知られており、酸化物ガラス中での硫黄の追跡に最適な系である。ガラス工学上よく取り上げられる酸化物系組成を基本にして、最初にアルカリ硫化物とガラス網目構成酸化物による二成分系ガラス:R_2S-MxOy(R=Li, Na, K ; MxOy=SiO_2,B_2O_3,GeO_2)の作製を試みた。 作製した試料は組成に対応した着色の変化が系統的に観察され、ガラス中への硫黄の残存が確認された。また本系ガラスは、対応する酸化物系ガラス組成と比較して、高アルカリ領域までガラス化が可能である事が判明した。ガラス化範囲はGeO_2系>SiO_2系>B_2O_3系の順で高アルカリ領域まで拡大しており、ガラス中への硫黄の残存量もこの順序で多くなることが認められ、このことはHSAB理論から予想される傾向と一致することが確認された。各系試料のXPS測定から、S2pスペクトルのシグナルは161eV付近に観測され、ガラス中の硫黄は単体の硫黄結晶より低原子価の硫黄として存在している事が判明した。このS2p Binding Energy値はNa_2Sにおける値とほぼ等しく、本系ガラス中での硫黄はイオン結合性の強いsulfideに近い電荷密度を持った状態で存在していることが判明した。更に、本系ガラスのOlsスペクトルの面積強度比から求められる非架橋酸素の割合は、高アルカリ領域で酸化物系ガラスと比較して小さくなっている事が分かり、本系ガラス中の硫黄は非架橋酸素部位を選択的に占有している事も判明した。また、R_2S-SiO_2系ガラスの^<29>Si MAS-NMR測定から、硫黄を配位したシリコン原子の存在が確認でき、ガラス中の硫黄は一部が酸素と置換してガラス網目構成成分となっている事が判明した。R_2S-B_2O_3系ガラスの^<11>B MAS-NMR測定からは、ガラス中の硫黄は大部分がポリスルフィドイオン(:Sx^2)である事が判明した。 上記の二成分系ガラスの結果をもとにして、硫黄を含有したボロシリケート系ガラスとソーダライム系ガラスの三成分系ガラスの作製を試み、ガラス化範囲を決定することができた。XPSとMAS-NMR測定から、ガラス中に非架橋酸素部位が存在するときにSi-S結合が生成し,それらの結合がガラスの着色に影響を及ぼすことが判明した。
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Research Products
(1 results)