2000 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム触媒を用いた芳香族炭素-水素結合のオレフィンへの付加反応の機構の解明
Project/Area Number |
12750767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70252591)
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Keywords | ルテニウム触媒 / 炭素-水素結合切断 / 炭素-炭素結合生成 / 芳香族ケトン / 芳香族エステル / オレフィン |
Research Abstract |
本研究では、遷移金属触媒を用いた芳香族化合物とオレフィンとのカップリング反応の研究過程で蓄積した知見を基に、今まで未解決であった本カップリング反応の機構解明を目的として研究を行った。 平成12年度は、以下の事柄について研究を行い、当初目的としていた成果が得られた。 (1)芳香族化合物とオレフィンとのカップリング反応における律速段階の解明: 実際の触媒反応においてどの段階が律速であるかを明らかにするため、重水素標識した芳香族ケトンおよび芳香族エステルを用い反応を行い、生成物ならびに未反応原料中での重水素の分布を調べた。その結果、芳香族のオルト位とオレフィンのビニル位でH/Dスクランブルが起こっていたことより、炭素-水素結合切断やルテニウム-ヒドリドのオレフィンへの付加段階は、本触媒反応における律速ではないことが明らかとなった。また、芳香族ケトンとオレフィンとのカップリング反応における、炭素同位体効果の測定を^<13>C NMRスペクトル測定を用いて行うことにより、炭素-炭素結合生成段階が本触媒反応の律速であることを見出した。他の基質についても同様の手法を用いて、反応の律速段階を決定する計画である。 (2)芳香環上の置換基が反応およぼすに影響の解明: 芳香族エステルの芳香環上の置換基が反応性におよぼす影響を系統立てて検討した。その結果、芳香環上に電子供与基が存在する場合には、カップリング反応の進行が遅くなり、電子吸引基が存在する場合には、反応の進行が早くなるという、反応機構を解明するのに重要な知見を得た。
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