2000 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的ヒドロシリル化を基軸とする高活性な含ケイ素有機金属クラスタの創製と触媒開発
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12750768
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 公紀 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (00294984)
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Keywords | クラスター触媒 / ヒドロシリル化 / 共役π配位子 / シリル錯体 / 開環重合 / ポリエーテル / ポリシロキサン |
Research Abstract |
本研究では、触媒的ヒドロシリル化反応を基軸とする高い活性を有する含ケイ素有機金属クラスターの創製とその新規触媒反応を開発目的として研究を行っている。本年度は、既に明らかにされたヒドロシリル化反応の反応性などの詳細な調査、中間活性種の捕捉あるいは推定を段階的に進めた。また、新規反応の開発を検討した。多環式芳香族化合物としてアセナフチレンを配位子に持つルテニウム3核カルボニルクラスターによる、ケトン、アセタール、環状エーテル(エポキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン)のヒドロシリル化、環状エーテル化合物の開環シリル化重合を基軸として、その他の共役π配位子(アズレン類)を持つクラスターとの反応性を比較した結果、共役π配位子の存在は反応に必須であるが、その種類にかかわらず反応が進行すること、金属の核数では三核錯体が最も効率的にヒドロシリル化生成物を与えることを明らかにした。種々の触媒とヒドロシランとの加熱反応を行った結果、配位子の違い、金属の核数の違いによって酸化的付加した生成物の構造が異なることを明らかにした。それらの構造は触媒反応の反応性の違いを反映しており、COを脱離して酸化的付加生成物を与え易い触媒ほど反応性が低いことも判った。反応活性種に関する知見を得るため、触媒とヒドロシランの反応を追跡した結果、三核ヒドリドシリル錯体が原料との平衡混合物として生成することを明らかにした。この結果は、反応活性種が三核構造を保っていること、共役大配位子のハプティシティ変化が反応の駆動力になっていることを強く裏付けるものとなった。また、基質としてテトラヒドロシランに類似のテトラメチルオキサジシラシクロペンタンを用いると開環重合が進行し、ポリシロキサンを与えることも見出した。このような反応は従来のヒドロシリル化触媒では全く見られない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nagashima,H.,Iura,T.,Suzuki,A.,Ryu,K.,Matsubara,K.: "Stoichiometric and Catalytic Activation of Si-H Bonds by a Triruthenium Carbonyl Cluster,(μ_3,η^2:η^3:η^5-acenaphthylene) Ru_3(CO)_7: Isolation of the Oxidative Adducts, Catalytic Hydrosilylation of Aldehydes, Ketones, Acetals, and Catalytic Polymerization of Cyclic Ethers"Organometallics. 19・18. 3579-3590 (2000)
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[Publications] Takafumi Iura,Kouki Matsubara,Hideo Nagashima: "Preparation of Polybutylene Oxides Bearing Terminal Ester Groups by Treatment of H[(CH_2)O]_nSiR_3 with Acyl Halides"Kinou Bussitu Kagaku Kenkyusho Houkoku. 14・2. 119-125 (2000)
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[Publications] Kouki Matsubara,Takashi Oda,Hideo Nagashima: "Diruthenium Carbonyl Complexes Bound to Guaiazulene : Preparetion and Thermally Reversible Photoisomerization Studies of Phosphine and Phosphite Derivatives of (μ_3,η^3:η^5-guaiazulene) Ru_2(CO)_5 and Iron Homologues"Organometallics. 20・5. 881-892 (2001)