2001 Fiscal Year Annual Research Report
天然テルペンの利用を目指したパラジウム触媒によるアリル化重合
Project/Area Number |
12750778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (70291408)
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Keywords | 触媒 / パラジウム / アリル / 重縮合 / テルペン / 炭素-炭素結合 / 化学量論比 / 生分解性 |
Research Abstract |
(Z)-1,4-ジアセトキシ-2-プテン(1)とジエチルマロナート(2)との重合反応機構を詳細に検討した。その結果、この重合反応は一般的な重縮合反応とは異なリ、重合反応経路が制御されて進行していることを突き止めた。すなわち化合物1に対して2分子の化合物2が連続的に反応して重合が進行している。この重合機構が高度に制御できれば、二成分系重縮合反応で本質的欠点とされていた「化学量論比の差による分子量支配」が解決できることになる。つまり二成分重縮合において、化学量論比を厳密に1対1に合わせなくても重合が進行する反応系を確立できることになる。そこで、意図的に二成分の量論比を1対1.5で重合反応を行ったところ、重合反応は進行し高分子量ポリマーを得た。反応経路を制御できない場合、反応によりオリゴマーしか得られない。本結果は、炭素-炭素結合形成重縮合反応で化学量論比の制約を受けない初めての重縮合系として報告した(研究発表論文No.1)。さらに高度な反応経路の制御を目指して、低分子反応系における配位子を詳細に検討した。これにより、2つのリン原子を4つのメチレン鎖で連結したの二座配位子で、パラジウムと7員環状錯体を形成する配位子が反応経路の制御に極めて有効であることが分かった(研究発表論文No.2)。これらの最適重合条件下、ゲラニオールやその立体異性体であるネロール、またシトロネロールといったテルペンアルコールを用い、新規ポリマーを合成した(論文準備中)。また、主鎖にエステル結合を導入した分子設計を行うことにより生分解性ポリマーとなる可能性が高いことから、これらのポリマーを合成し、現在は生分解性挙動を調べている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nobuyoshi Nomura: "Mechanistic Rationale of Palladium-Catalyzed Allylic Substitution Polymerization - Carbon-Carbon Bond Forming Polycondensation out of Stoichiometric Control by Cascade Bidirectional Allylation"Angewandte Chemie, International Edition. 40. 1932-1935 (2001)
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[Publications] Ko Tsurugi: "Palladium-catalyzed allylic substitution reaction : oxidative addition versus dissociation in an olefin-palladium complex"Tetrahedron Letters. 43. 469-472 (2002)