2000 Fiscal Year Annual Research Report
異種結晶性高分子ブレンドでの同時球晶成長と相互侵入球晶
Project/Area Number |
12750791
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池原 飛之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90242015)
|
Keywords | 相互侵入球晶 / 高分子ブレンド / ラメラ / 複屈折 / ポリブチレンサクシネート / ポリ(塩化ビニリデン-co-塩化ビニル) / 偏光顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
結晶性/結晶性ポリマーブレンドであるポリ(ブチレンサクシネート)/ポリ(塩化ビニリデン-co-塩化ビニル)(PBSU/PVDCVC)ブレンドは溶融状態では相溶している。両成分の融点の差は34Kであり、低融点成分であるPBSUの球晶成長速度が高融点成分であるPVDCVCの球晶成長速度よりも速いため、この系では同時に両成分の球晶形成が起こる。更に、両成分の球晶がぶつかったときにはPBSUの球晶がPVDCVCの球晶に浸入していくことが発見された。これを相互侵入球晶と呼ぶ。PBSUどうしやPVDCVCどうしの球晶がぶつかってもそこで球晶の成長は停止する。その形成過程を光学顕微鏡観察および原子間力顕微鏡により解析した。以下に今年度の主な成果を示す。 1.光学顕微鏡観察をすることにより、相互侵入球晶の生成条件を検討した。PBSUとPVDCVCの球晶をクロスニコルで観察するとそれぞれ負と正の球晶を示した。実験条件はPBSU分率30%〜60%、結晶化温度338K〜378Kで実験を行い、そのほとんどの条件で相互侵入球晶が形成した。光学顕微鏡観察では、PVDCVCの球晶の複屈折パターンは、PBSUの侵入後PBSUのものに変化した。これは、PBSUのラメラがPVDCVCのラメラに沿って成長することを示している。これが相互侵入球晶の形成の証拠である。 2.この実験結果を説明するため、PVDCVC球晶内のラメラ凝集密度は疎でPBSU球晶のラメラ凝集密度は密であるというモデルをたてた。これを検証するため、原子間力顕微鏡で球晶の観察を行った。その結果、このモデルを確認することができた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Ikehara and T.Nishi: "Interpenetrated Spherulites of Poly (butylene succinate)/Poly (vinylidene chloride-co-vinyl chloride) Blends. An Optical Microscopic Study"Polymer Journal. 32・8. 683-687 (2000)
-
[Publications] Y.Terada,T.Ikehara,T.Nishi: "Direct Observation of the Interpenetrated Spherulites by Atomic Force Microscopy"Polymer Journal. 32・10. 900-903 (2000)