2000 Fiscal Year Annual Research Report
資源セキュリティ確保に向けた非鉄・リサイクル部門へのデリバティプ理論の応用
Project/Area Number |
12750827
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安達 毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40262050)
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Keywords | 非鉄製錬業 / リスクヘッジ / 金属価格 / 銅製錬 / 先物価格 / 為替変動 |
Research Abstract |
本年度は非鉄産業部門として銅製錬業を対象としたリスクヘッジ理論の構築と実証研究を行った。銅製錬企業はこれまで販売価格の固定化を目的として銅先物を利用してきたが、合理的な戦略に沿ったヘッジ戦略を採用してこなかった。しかし、先物市場が大規模化、制度が整いつつあるなかで、先物を用いたヘッジの重要性は増し、理論的な銅価格変動・ヘッジ手法の分析が必要となってきた。 本研究では、国内銅製錬企業が抱える銅価格変動リスクおよび為替変動リスクに関するヘッジ戦略の構築・実証を行った。価格変動リスクヘッジにおける古典的な基本理論として最小リスクヘッジ理論がある。これは現物・先物価格変動間の共分散を先物価格変動分散で除することで最適なヘッジ比率とする簡潔な理論である。従来、このヘッジ比率を定義する分散・共分散パラメータは、その簡便さもあって過去の時系列データからの回帰で推定されてきた。しかし、実際の価格変動データの分散には時間的変動性があり、この特性のもとでは従来の手法で推定したヘッジ比率は最適とはいえない。 本研究ではこの特性に注目し、銅現物・先物価格変動の分散変動を時系列モデルでモデル化・推定することで、より効率の高い価格変動リスクヘッジを試みた。また、このプロセスを応用して為替変動リスク下での価格変動リスクヘッジを試みた。 実証の結果、価格変動リスクヘッジに関しては、分散変動をGARCH(1,1)モデルで表現することで従来よりも高い効率を得ることができた。また、為替変動リスク下の場合もGARCH(1,1)モデルを用いることで、その効率自体は高くないものの、効率の改善を見ることができた。
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