2001 Fiscal Year Annual Research Report
テンサイ細胞質雄性不稔性に関与する遺伝子産物とその作用の解析
Project/Area Number |
12760002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (40261333)
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Keywords | テンサイ / 細胞質雄性不稔 / ミトコンドリア / 呼吸鎖複合体 / lipid transfer protein / BN-PAGE |
Research Abstract |
○CMS原因遺伝子の生化学的特徴付け 1.昨年度とは異なる方法でOwen型雄性不稔細胞質のCMS原因候補遺伝子であるatp6プレシーケンス(_<pre>atp6)由来翻訳産物の多量体形成能を調査した。CMS株のミトコンドリアでは、BN-PAGEにより検出される、CMS株に固有の複合体が存在することを明らかにした。CMS株固有複合体をゲルから切り出し、SDS-PAGEで展開したところ、一種のポリペプチドが検出され、ウエスタン解析の結果、これが_<pre>atp6由来翻訳産物であることが分かった。従って、preATP6はCMS株のミトコンドリアで独自の多量体を形成し、他の呼吸鎖複合体にpreATP6が取り込まれている可能性は低いと思われる。 ○稔性回復遺伝子 1.稔性回復遺伝子の一つであるX遺伝子について、Xを含むBACコンティグを完成させた。 ○生殖器官特異的lipid transfer protein遺伝子 1.昨年度見出したCMS株で発現が見られなくなるcDNAクローンの解析を進めたところ、これがlipid transfer protein(LTP)をコードすることがわかった(bvLTP)。bvLPTの発現はテンサイOwen型および野生ビート由来の2種のCMS株でいずれも認められず、雄性不稔性発現機構に共通性のあることが示唆された。 2.稔性回復遺伝子を分離する集団におけるbvLTPの発現を調査したところ、Owen型では花粉稔性を完全に回復した個体にのみ発現が見られ、BC1集団における分離比が1:3となり、独立な2対の補足遺伝子が関与すると考えられた。一方、野生ビート由来の不稔細胞質では、部分稔性個体でも発現が認められ、供試個体の少ない予備的な調査ながら、F2集団において3:1分離するようである。従って、この細胞質では一対の優性遺伝子が関与すると予想される。
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