2000 Fiscal Year Annual Research Report
光化学エネルギーの生産・消費バランスからみたイネの個葉光呼吸・光合成特性
Project/Area Number |
12760012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平尾 健二 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (70301348)
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Keywords | イネ / 光合成 / 光呼吸 / 光化学系 / CO2ガス交換 / クロロフィル蛍光 |
Research Abstract |
対肥性の異なる栽培イネ2種(Oryza sativaとO.glaberrima)を用いて,異なる窒素施肥条件下で光合成・光呼吸への光化学系生産エネルギーの分配比率をPSII量子収率とガス交換速度の両パラメータから算出した.その結果,真の光合成速度には両種間で明確な差は認められなかった.しかし,O.glaberrima種はいかなる窒素条件下においても生産される全エネルギーレベルがO.sativaよりも低いことが明らかとなった.これは,光呼吸において消費されるエネルギーが相対的に低いことに起因にするものであった.さらにこの現象が生じる理由の一つとして,O.glaberrimaは常に気孔開度が高く,葉内CO2濃度を高く保つことで葉内のCO2/O2分圧比が高まり,キー酵素RubisCOのカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ比が相対的に高くなることが関与しているものと推察された.つまり,O.sativa種は高いCO2固定と高い光呼吸で収支し,O.glaberrima種は低いCO2固定と低い光呼吸で収支しており,O.glaberrima種は消費エネルギー面から見て「省エネ型」の効率の良いタイプの光合成反応を行っていると考えられる. また,過去100年において栽培されてきた,10の新旧品種を用いて生育特性,水ストレス下の光合成特性を調査し,次年度の基礎データとした.結果としては水ストレス下の光合成反応に品種間差が認められ,ストレス下の光呼吸量の違いに興味がもたれた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 田川毅明,平尾健二,窪田文武: "アフリカイネ,Oryza glaberrima Steud.,の個葉光合成における窒素利用効率の種特性"日本作物学会紀事. 69・1. 74-79 (2000)
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[Publications] Yoshimura Y.,K.Hirao and F.Kubota: "Concurrent Moritoring of Oxygen Evolution and Chlorophyll Fluorescence in Mungbean Leaves with a Liquid-Phase Oxygen Electlode"Plant Production Science. 3・3. 229-231 (2000)
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[Publications] 平尾健二,花田美和,窪田文武: "光合成・光呼吸特性を考慮した種間F1雑種イネの乾物生産におけるヘテロシスの検討"日本作物学会紀事. 69・別2. 276-277 (2000)
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[Publications] 丸山博子,平尾健二,窪田文武: "環境条件に対する栽培イネ,O.glaberrima Steud.およびO.sativa L.の乾物生産と気孔反応特性"日本作物学会紀事. 69・別2. 278-279 (2000)