2000 Fiscal Year Annual Research Report
倍数性と種間交雑を利用したシクラメン花色育種における遺伝資源の解析と開発
Project/Area Number |
12760022
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 助教授 (40253257)
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Keywords | シクラメン / 遺伝資源 / 倍数性 / 種間交雑 / 倍加 / 三倍体 / 花粉保存 |
Research Abstract |
まず,オリザリンとコルヒチンを用いてシクラメンの染色体倍加を試みたところ,シクラメンでは,オリザリン処理による倍加は難しかった.また,体細胞胚形成中にコルヒチン処理を行うことにより.キメラ個体の形成を著しく減少できることも明らかになった.さらに,シクラメンの二倍体と四倍体との交雑では,通常は三倍体接合胚の退化により,三倍体後代が得られないが,子房培養を援用することにより三倍体胚を救出できることが示された.その際,ホルモンフリーの培地では交雑組み合わせによっては全く植物体が得られないが,ココナッツウォーターを培地に添加することにより三倍体獲得が著しく効率化され,ほとんどの組み合わせで三倍体雑種が得られることが明らかになった.なお,子房培養の温度条件は,20℃が適当であり,培養時には胚珠単独ではなく胎座組織と連絡したままの胚珠を用いることが有効と考えられた. 一方,シクラメン園芸品種とC.africanum,C.hederifoliumまたはC.purpurascensとの交雑では,交雑後に子房培養を援用することにより雑種獲得が可能であった.特に,園芸品種とC.africanumの種間雑種作出の例はほとんどなく,貴重な遺伝資源となる可能性が示唆された.なお,培養時に胚珠単独で置床した場合には植物体が得られず,培養時に胚珠が胎座に連絡していることが重要であると示唆された.また,シクラメン属植物の花粉は,液体窒素中で9か月ほどの保存が可能であり,開花期が異なる野生種間での遠縁交雑が可能となった. 以上の結果,コルヒチン処理によるシクラメンの倍加法,異倍数体間および遠縁交雑における雑種獲得法.ならびにシクラメン属花粉の保存法が開発または確立された.これらの成果は倍数性と種間交雑を利用したシクラメン花色育種における遺伝資源の開発に有用であると思われる.
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