2001 Fiscal Year Annual Research Report
倍数性と種間交雑を利用したシクラメン花色育種における遺伝資源の解析と開発
Project/Area Number |
12760022
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高村 武二郎 香川大学, 農学部, 助教授 (40253257)
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Keywords | シクラメン / 倍数性 / 種間交雑 / 種間雑種 / 花色 / 花色素 |
Research Abstract |
まず,倍加個体と倍加していない二倍体の花色・花色素を比較したところ,倍加個体で花色素量が増加したものが見られたが,同一株でも花,特に開花時期が異なる花の間で花色素の発現にばらつきが認められるものがあった.これは,花色・花色素の発現が環境要因にも左右されるためと考えられ,今後さらなる探求が必要であると考えられた. また,四倍体と二倍体との交雑により得られた四倍体F_1と交雑後の胚珠培養で得られた三倍体F_1との間で花色・および花色素を比較したところ,両者で花色が異なった.四倍体F_1と三倍体F_1とで花色素の種類に大きな違いはなかったが,その量と構成比は異なった.なお,四倍体F_1の自殖後代の多くでも,三倍体F_1と花色が異なった.以上のこととこれまでの研究から,シクラメンの花色素生成関連遺伝子には,質的に作用するものと量的に作用するものとがあると考えられ,倍数性育種による花色変異拡大の可能性が示唆された. さらに,園芸品種とC. hederifoliumまたはC. purpurascens との種間雑種の花色,花色素を調査した.これら2つの野生種はマルピジン-3,5ジグルコシド(Mv-3,5dG)を主要アントシアニンとして有するが,たとえアシアニック系または3,5dG型でないアントシアニンを主要色素とする園芸品種を交雑親に用いた場合でも,園芸品種との種間雑種は3,5dG型のアントシアニンを主要花色素として有していた.このことから,異ゲノム間においてもいくつかの花色素生成関連遣伝子が優劣の関係のもと発現する可能性が示唆された. 今後,さらなる検討は必要であるが,以上の成果は,倍数性と種間交雑を利用したシクラメン花色育種における遣伝資源の開発に有用な知見であるとともに,その遺伝資源開発の可能性および有用性を示唆するものと考えられる.
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