2000 Fiscal Year Annual Research Report
Far-Western法を利用したウイルスのレプリカーゼを構成する宿主因子の同定
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12760031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海道 真典 京都大学, 農学研究科, 助手 (20314247)
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Keywords | Brome Mosaic Virus / 細胞間移行 / 宿主因子 / Gene Silencing |
Research Abstract |
本研究では、Brome Mosaic Virus(BMV)が宿主植物に全身感染するために必須の宿遺伝子の単離を目的としてBMVタンパク質と直接結合するタンパク質をコードするNicotiana benthamiana植物遺伝子をそのcDNAライブラリーからFar-Western Blotting法によって単離することを試みた。 まずBMVの複製酵素成分であるBMV1a遺伝子をプローブに用いたが、予想に反して1aタンパク質が(N.benthamianaのcDNAライブラリーを導入した)ラムダGEX5ファージのタンパク質と強く結合したために実験系が成立せず、BMV複製に関与する宿主因子の単離は断念した。 次に、BMVが感染細胞から隣接細胞へ移行する過程に関与する宿主因子の同定を試みた。BMVの隣接細胞への移行に必須である3aタンパク質をプローブとして用い、約10^6個の遺伝子について調べたところ、18種類の遺伝子が単離できた。ホモロジー検索の結果、1つはNascent polypeptide associated complex(NAC)のα鎖と、もう一つは14-3-3proteinと高い相同性がみられた。NACは膜移行シグナルを持たないタンパク質が不適切にER膜系へと輸送されるのを制限するタンパク質であり、14-3-3proteinは細胞内での特異的な組織への輸送に携わる複合体を構成するタンタンパク質である。これらの結果から、植物細胞間の連絡糸であるプラズモデスマータを貫通する細胞膜系と関わりの深い、あるいは細胞内でのタンパク質輸送を行うタンパク質が、BMVの細胞間移行に関与する可能性が示唆された。 今後、Gene Silencingの手法を用いて候補遺伝子の発現を抑制し、そのような状態でのBMVの感染性を調べることによって、これらの候補遺伝子がBMVの細胞間移行に関与する宿主因子であるか否かを決定する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Diez et al.: "Identification and characterization of a host protein required for efficient template selection in viral RNA replication"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 3913-3918 (2000)
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[Publications] Kaido: "Host factors involved in the multiplication of Brome Mosaic Virus"PSJ Plant-Microbe Interactions Symposium Reports. 36. 113-122 (2000)