2000 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気消毒処理が土壌に及ぼす影響-特に臭化メチル処理代替法としての検討-
Project/Area Number |
12760043
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田中 壮太 高知大学, 農学部, 助手 (10304669)
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Keywords | 蒸気消毒 / 臭化メチル / 土壌微生物群集の多様性 / 硝化菌 / 無機態窒素 / クロルピクリン |
Research Abstract |
[目的]土壌燻蒸剤の臭化メチル剤がオゾン層破壊物質として2005年にその使用が全面禁止されるのに伴い、臭化メチル代替法や消毒後の肥沃度管理技術の開発が必要とされている。本研究では、各種消毒処理が土壌微生物群集の多様性とその機能に与える影響を評価するため、基質資化性及び窒素の無機化について比較検討した。 [方法]高知大学附属農場のビニルハウス内に蒸気消毒、クロルピクリン剤、臭化メチル剤(以下SS、CP、MB)処理区及び無処理区を設け、トマトを栽培した。栽培前にバーク堆肥のみを施し、化学肥料は使用しなかった。土壌試料を経時的に採取し、分析に供試した。 [結果と考察]1.微生物バイオマスは消毒により全ての区で減少した(SS、CP>MB)。希釈平板法による糸状菌及び細菌数は、各処理区間で明確な傾向はみられなかった。Biolog Ecoプレートにより評価した土壌微生物群集の基質資化性は、SSでは消毒直後に大きく低下したが、以後は無処理区よりも高かった。これに対し、CPでは定植時に最も低くなったが、定植1カ月後には無処理区と同じレベルまで回復した。MBでは消毒後やや増加したが、定植時には無処理区と同じレベルになった。2.硝化菌は消毒によりSS、CPで大きく減少し、定植1カ月後でも無処理区のレベルまで回復しなかった。NH_4-Nは消毒により全ての区で増加し(SS、CP>MB)、SS、CPでは定植1カ月後でも高かった。一方、NO_3-Nは消毒により全ての区で減少した(SS、CP>MB)。一方、生育調査では、どの区もNH_4-Nの蓄積による生育障害は認められず、SSで最も生育が旺盛であった。各種消毒処理が無機態窒素の動態及び生育量へ及ぼす影響と、基質資化性へ及ぼす影響との関係を明らかにする必要があると考えられた。
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