2000 Fiscal Year Annual Research Report
コレストロール過酸化物による脂質代謝攪乱作用および動脈硬化発症機序の解明
Project/Area Number |
12760081
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長田 恭一 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (30271795)
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Keywords | コレステロール / 過酸化 / 動脈 / 内皮細胞 / マクロファージ / コレステロールエステラーゼ |
Research Abstract |
生体は様々な酸化ストレスに曝されており、種々の防御システムを通り抜けて産生する過酸化脂質は生活習慣病や代謝変動を誘発するものと考えられている。この奨励研究では過酸化脂質の中でもその存在と生理作用が未知であるコレステロール過酸化物による脂質代謝撹乱作用と動脈硬化発症作用を検討した。 まず、コレステロール過酸化物の作成を種々の酸化因子、すなわち、遷移金属類、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、あるいは光増感色素を用いたI型およびII型ラジカル反応で7-ヒドロキシおよび5-ヒドロペルキシ型コレステロール過酸化物を作成した。さらに、ルミノールを用いた化学発光-HPLC法による定量分析法を確立した。ラットに微量の7-ヒドロキシおよび5-ヒドロペルキシ型コレステロール過酸化物を含む飼料を短期間与えて脂質代謝変動を追跡したが、短期間では有為な変動は認められなかった。さらに、種々のレベルの両ヒドロペルオキシコレステロールを含む培養液でウシ動脈内皮細胞、ラビット動脈内皮細胞あるいはマウス由来マクロファージを培養した。その結果、各細胞のコレステロールエステラーゼ活性は、ヒドロペルオキシコレステロールの添加濃度に依存して低下し、細胞内にコレステリルエステルが蓄積されることが明らかになった。すなわち、7-ヒドロキシおよび5-ヒドロペルキシ型コレステロール過酸化物は細胞の泡沫化を誘発し得る有害な過酸化物であることが証明された。
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Research Products
(1 results)