2000 Fiscal Year Annual Research Report
食品性抗酸化成分が糖代謝調節機能に及ぼす効果についての分子的解析
Project/Area Number |
12760082
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 芳明 岩手大学, 農学部, 助手 (50312517)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
本研究は組織酸化の亢進や生体の抗酸化機能の低下が認められる糖尿病態に対して、伝統食品である雑穀の一種、モロコシ由来の抗酸化性物質の摂取による軽減効果の検討を試みた。 ストレプトゾトシン投与により糖尿病態に誘導したラットにカテキン当量にして0.36%のポリフェノール含量になるように精白モロコシ粉末を混合したモロコシ飼料を35日間与えた後、組織過酸化脂質量、抗酸化酵素活性、血糖値、尿量などを測定した。その結果、対照の20%カゼインタンパク質飼料群とモロコシ混合飼料群で血糖値に差は認めないものの、モロコシ混合飼料群で尿排泄量に有意な低下を認めた。モロコシ混合飼料群で肝臓及び腎臓の過酸化脂質濃度を抑制する効果は認めないものの、糖尿病により低下した腎臓SOD活性を回復する傾向が、また肝臓GST活性を正常化する効果を認めた。次にエタノール抽出により調製したモロコシポリフェノール画分を0.35%添加した飼料を2型糖尿病モデル動物であるKK-Ayマウスに13週間与え、血中成分および組織の過酸化脂質量、すい臓インスリン遺伝子発現量を分析した。その結果、モロコシ抽出物添加飼料摂取では、加齢に伴う高血糖、高インスリン血症を軽減する効果は認めなかった。一方、すい臓のインスリン遺伝子発現量が増加する傾向が認められ、これは化学的な抗酸化物質であるN-acetyl-L-cysteinを2.5%添加した飼料を摂取した群と類似した傾向であった。 また細胞系を用いて、酸化ストレスにより障害されたインスリン応答性に対する食品抗酸化成分の軽減作用を検討したところ、酸化ストレスにより低下したインスリンの脂肪分解抑制作用を食品性抗酸化成分であるカテキンが軽減する効果が認められた。このような細胞系を用いて、モロコシに含まれる抗酸化成分の効果について検討できることが期待できる。
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