2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川井 泰 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00261496)
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Keywords | 抗菌性ペプチド / バクテリオシン / 乳酸菌 |
Research Abstract |
ヒト腸管より分離したLactobacillus gas seri SBT2055株により生産される、(リステリア、バチルス、黄色ブドウ球菌などの)食中毒菌に対して幅広い抗菌効果を示すバクテリオシン、ガセリシンTをMRS培地培養上清より逆相クロマトグラフィーを用いて単離・精製した。本バクテリオシンは疎水性抗菌ペプチドで、SDS-PAGEにより分子量約5,400と推定された。次いで、N-末端部分アミノ酸配列を決定し、本配列に基づいて作成したプローブにより染色体DNAから構造遺伝子のクローニングを行ったところ、ガセリシンTを含む6つのORFが見出された。本バクテリオシンはORF4にコードされており、L.johnsonii VPI1088により生産されるバクテリオシン、ラクタシンFのLafAと約60%の相同性を有し、プロセッシングサイト、グリシン残基および親水性に富むC末端領域が高度に保存されていた。本結果は、ガセリシンTの活性発現必須部位に関する重要な情報を提示すると共に、生産菌種の違いによる特異的構造変化部位を示唆していると考えられた。ORF2および3を除く他のORFには、すでに報告されているバクテリオシン関連成分との類似性が認められ、ORF5は活性相補性因子(今回の培養上清中には見出されていない)、ORF6は自己免疫タンパク質と考えられた。また、ガセリシンTの全アミノ酸配列を化学的に決定したところ、クローニングにより決定した配列と全て一致しており、分子内に一つのジスルフィド結合の存在を確認した。本結合の切断によりバクテリオシン活性は約2倍に上昇したが、ゲル浸透性および抗菌スペクトルに変化は認められなかった。
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Research Products
(1 results)