2000 Fiscal Year Annual Research Report
免疫染色法による二次壁形成の周期性の確認と物性発現
Project/Area Number |
12760116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 正人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30242845)
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Keywords | 樹木細胞壁 / 仮道管 / 分化中木部 / 二次壁新生面 / 免疫染色 / 二次壁形成の周期性 |
Research Abstract |
前年までに,樹木の分化中仮道管の二次壁新生面の観察と分析から,膨圧の高い夜は堆積中のセルロースミクロフィブリルを覆う不定形物質が多く見られること,膨圧の低い昼には不定形物質は少なくセルロースミクロフィブリルが明確に見られること,つまり二次壁の形成に日的な周期性があること,そして不定形物質はリグニンそのものではないこと,を明らかにしている.本研究課題は,夜間に二次壁新生面に多く観察されるセルロースミクロフィブリル上に存在する不定形の物質が何であるかを突き止めることである. 今年度の研究成果をまとめる. 1.ヘミセルロースを構成する多糖としてグルコマンナンを分離・精製し,ウサギを介してこの一次抗体を含む血清を採取した.この一次抗体は,抗原であるグルコマンナンとのみ特異的に反応するものであることが確認された.これにより,本研究課題遂行に適切であるグルコマンナンを検出する一次抗体が作成された. 2.電界放出形走査型電子顕微鏡で二次抗体に標識した金粒子がどのように観察されるのか,また観察に最も適した条件や手法を検討し,従来,透過電子顕微鏡で行われていた免疫組織検査の手法を電界放出形走査型電子顕微鏡で行う方法を確立した.結果,観察思慮に副産物が少なく,ビームダメージが少ない観察が可能となった. 3.上記の一次抗体と手法を用い,夜間二次壁新生面に多く観察される不定形物質の中にグルコマンナンが含まれていることを明らかにした.つまり,樹木の分化中仮道管の二次壁新生面には,膨圧の高い夜間はグルコマンナンを多く含む物質がセルロースミクロフィブリル上に堆積し,膨圧の低い昼間はその物質が少ないことが分かった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yoshida M,Hosoo Y,Okuyama T: "Periodicity as a factor in the generation of isotropic compressive growth stress between microfibrils in cell wall formation during a twenty-four hour period"Holaforschung. 54. 469-473 (2000)