2001 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の生殖に及ぼす内分泌撹乱化学物質のエストロゲン受容体を介した作用機構の解析
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12760127
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
東藤 孝 新潟大学, 理学部, 助手 (60303111)
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Keywords | 環境ホルモン / エストロゲン / 核内受容体 / メダカ |
Research Abstract |
魚類における内分泌撹乱化学物質のエストロゲン受容体(ER)を介した作用機構を明らかにする目的で、メダカをモデルとして以下の研究を行った。 近年、魚類のERにはαとβ、γの3種類が存在することが明らかとなったが、メダカではまだαタイプしか知られていない。そこで、先ずメダカERβとERγのcDNAクローニングを行うことにより、メダカにおける3種類のERの存在を確認し、3種類のERの構造や機能について比較・検討した。 魚類ERβの保存配列より設計されたプライマーを用いたPCRにより、メダカ卵巣由来のcDNAから2種類のER cDNA断片が得られた。これらのcDNAは両者とも約500個のアミノ酸残基をコードするものであり、そのアミノ酸配列はERのタンパク翻訳領域の大部分を含んでいた。分子系統樹による解析から、得られた2種のcDNAはそれぞれメダカERβとERγであることが確認された。次に、メダカ雌における3種のER mRNAの発現組織をRT-PCR法により調べた。ERα mRNAは肝臓と卵巣にのみ検出されたが、ERβmRNAは脳や肝臓、卵巣、筋肉、鰭で発現しており、さらにERγ mRNAは調べた組織のほとんどで発現が認められた。 以上のように、メダカにおいても3種類のERが存在することが初めて明らかにされた。また、3種類のER mRNAの発現組織に違いがみられたことから、エストロゲンや内分泌撹乱化学物質の作用において3種のERは異なる役割を担っている可能性が高いことが示された。しかし、3種類のERの機能的相違の詳細については、今後の課題として残された。
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