2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760168
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷川 英夫 筑波大学, 農林工学系, 助手 (80292514)
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Keywords | 車両 / 構造解析 / 位相最適化 / フレーム / シェル |
Research Abstract |
農業を取り巻く社会的経済的環境が年々厳しさを増すなかで,基幹動力源である農用トラクタに期待される性能特性にも変化が現れ始め,その研究開発に当たっては人間工学的観点からより良い機能性,快適性,安全性を付与するための総合的設計開発環境の確立が重要視されるに至っている。しかし,従来型フレームは,機関,動力伝達部,差動装置といった構成要素が支持フレームの役割を果たす一体構造を有するため以下の問題点が存在する。(1)構成要素の安全率を高く見積もり,破壊例の根絶を目指す設計思想で対処しているので質量増は避けられない。(2)構造上,フレーム自体への防振対策が困難なため運転者への振動伝達が著しく,健康の阻害及び作業性などの低下を招く。(3)質量過大のため,燃料消費率が増大するうえに世界の畑作地帯で顕在化している圃場の締固め問題を昂進する。本研究では,上述の社会的背景と当該フレームの問題点を考慮し,既存のトラクタ形態に固執しない設計自由度の高い革新的構造形態を数値シミュレーションにより解析した。 平成13年度は,近年の開発設計現場でのCAD/CAMからCAE/RPへの広がりに伴って,寸法ベースの形状表現から曲面による形状表現が許されたのを受けて,当該フレームのノンパラメトリック最適化問題を主に検討した。ここで,当該フレームを線形弾性体や流れ場のような連続体や場として捉え,形をそれらが定義された領域の形状と表現すれば,形状最適化問題は領域最適化問題とも呼ぶことができる。現在まで盛んに研究されてきた領域最適化問題は,領域の位相を固定した下で境界が変動する問題と,領域の許容範囲を固定した下で位相が変動する(穴があいていく)問題である。大規模で複雑なシステムの最適化には応答曲面法を採用せざるを得ないが,対象が絞られた当該フレームのようなステージでは,設計の自由度を高めて極限まで絞り込むノンパラメトリック最適化法が威力を発揮することがわかった。さらに,当該フレームの適用を視野に入れた電気トラクタを試作し,そのエネルギー消費量,けん引負荷に応じたけん引効率の最大化を図るためのフレーム位置の調整による効率向上に関する検討を行った。
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[Publications] W.ARJHARN: "Preliminary Study on the Applicability of an Electric Tractor (Part 1)"Journal of JSAM. 63・3. 130-137 (2001)
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[Publications] W.ARJHARN: "Preliminary Study on the Applicability of an Electric Tractor (Part 2)"Journal of JSAM. 63・5. 92-99 (2001)