2000 Fiscal Year Annual Research Report
CA環境下におけるエチレン作用を考慮した生鮮農産物の呼吸反応解析
Project/Area Number |
12760171
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中野 浩平 岐阜大学, 農学部, 助手 (20303513)
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Keywords | 呼吸速度 / エチレン生成速度 / 修正ガス組成 / 応答性 / Michealis-Menten式 / 数学モデル |
Research Abstract |
生鮮農産物は,収穫後にもその生命活動を維持しているところに大きな特色がある。特に「呼吸速度」は組織内での生理反応をも含んだ個体トータルの状態を反映した唯一のシグナルであり,逆にこれを人為的に制御することで,安定的にかつ高品質な農産物を流通させることが可能となる。これまで呼吸制御に関する多数の研究がなされてきたが,品目を越えた普遍的呼吸抑制機作の解明までには至っていない。標記の研究では,酸素,二酸化炭素,エチレン濃度の異なる環境を計画的に創出し,種々のガス環境下における呼吸速度を計測,検討し,このことを明らかにすることを目的としている。 本年度においては,修正ガス環境下での呼吸速度を,精密かつ効率的に計測できる自動ガス代謝計測装置を開発し,低酸素濃度に変更したガス環境での,ブロッコリー,ミニトマト,エダマメについて酸素吸収速度,二酸化炭素排出速度およびエチレン生成速度を計測した。その結果,酸素濃度の急減に対し,まず酸素吸収速度が,ついでエチレン生成速度,二酸化炭素排出速度の順に抑制されることが明らかとなり,呼吸の応答性に対する環境要因の影響は,ガス濃度差よりもむしろ温度による影響が強いことが示唆された。また,エダマメの修正ガス組成に対する呼吸反応に関して,Michaelis-Menten酵素反応速度論に基づいた解析を行い,その反応動力学定数のArrhenius型温度依存性を認めた上で,種々の温度,ガス環境における呼吸速度を予測しうる数学モデルを構築した。
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