2000 Fiscal Year Annual Research Report
真空予冷を想定した水ストレスに対するキク切り花の生理的応答
Project/Area Number |
12760173
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松嶋 卯月 琉球大学, 農学部, 助手 (70315464)
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Keywords | 切り花 / キク / 真空予冷 / 水ストレス / 呼吸速度 / 蒸散速度 / しおれ / 鮮度保持 |
Research Abstract |
本年度の研究における主な目的は、真空予冷を想定した水ストレスに対するキク切り花の生理的応答を観察可能である計測システムを開発し、予備実験と本実験を行うことである。 水ストレスに対するキク切り花の生理的応答を観察するため、水ストレスを与える低湿度環境チャンバ、およびその対照とした高湿度環境チャンバを備えたシステムを構築した。低湿度環境チャンバはシリカゲルを用いた除湿を用いて、また、高湿度環境チャンバは水中曝気による加湿装置を用いて内部湿度を調整した。設定温度20℃でシステムの運転を行った時の両チャンバの相対湿度は、それぞれ、約40%および約95%となった。 キク切り花の生理的応答は呼吸速度から、また試料に与えられた水ストレスの程度は蒸散速度から求めた。呼吸速度は赤外線ガス分析計で計測したCO_2放出量から、蒸散速度は電子上皿天秤を用いて求めた試料質量の変化から算出した。計測値の取得および計測機器類等の制御はパーソナルコンピュータを用いて行った。 沖縄県産キク(品種:ミヤビ)を用い実験を行った結果、低湿度環境におかれた試料(以下水ストレス区)の蒸散速度は、高湿度チャンバにおかれた試料(以下対照区)と比較して常に数倍高く、48時間後の減量は約20倍であった。すなわち、水ストレス区は対照区と比較して顕著な水ストレス状態にあった。水ストレス区と対照区の呼吸速度の差は、実験経過とともに増大した。すなわち、水ストレス区では蒸散が進み水ストレスが起こるにつれて呼吸速度が高くなった。この結果は、水ストレスよる傷害で生理的応答が変化したことを示すと考えられた。以上、開発した計測システムを用いて水ストレスに対するキクの生理的応答を観察することが可能であった。
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