2000 Fiscal Year Annual Research Report
放牧草地における草質の空間的不均一性の動態と家畜の採食戦略の二次元解析
Project/Area Number |
12760181
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小倉 振一郎 宮崎大学, 農学部, 助手 (60315356)
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Keywords | 空間的不均一性 / 空間パターン / 草消費 / 草質 / 草量 / パッチーギャップ解析 / バヒアグラス / 放牧家畜 |
Research Abstract |
草地植生と放牧家畜による草消費の空間的不均一性とその動態を,パドックレベルの規模でかつ小パッチレベルの精度でモニタリングするため,バヒアグラス放牧草地において,5,8および10月の放牧期の前後に調査を実施した。 1.草地(1.1ha)の中央に90×34.5mの調査区域を設け,その中を1.5×1.5mの格子状とし,各格子点を中心とする50×50cmの地点を測定地点とした。草量計(PastureProbe^<TM>)を用いて各地点内の静電容量を測定し,較正式によって草量に変換した。較正式は各調査日に調査区域外から刈り取った試料で作成した。またすべての試料の窒素含量を測定した。 2.90mの固定ライントランセクト2本に沿って測定地点(20×20cm)を連続的に設置し,草量を草量計で測定し,平均パッチサイズとギャップサイズを求めた。 草量の二次元分布図を等高線グラフとして記述することにより,草量の空間分布とその動態がパドックレベルで明瞭に表された。またパッチーギャップ解析の結果,この二次元分布図は小パッチレベルの精度を有していた。さらに放牧前後の草量の差から,被食速度と利用率という家畜による草消費の空間分布についても視覚的に表された。さらにデータを解析した結果, 1.春には草地の平均草量は低く不均一性は弱いが,季節の進行に伴い不均一性は強まった。 2.窒素含量は,春には草量によらずすべての季節中で最も高く,一方夏から秋には草量の多い地点ほど窒素含量が低かった。 3.草地の空間パターンは春にくらべ夏から秋に高い安定性を示した。 4.放牧前草量と被食速度との間には季節を通じて強い相関関係があったが,放牧前草量と利用率との関係は季節の進行にともない弱まった。 以上より,春には若い緑葉の割合が多く質的にほぼ均一なため,家畜は草量の多い場所を採食するほうが有利となるが,夏から秋にかけて草量の多い地点は茎や枯死部が多く,質が低下するため,草量と草質のトレードオフが生じ,家畜の採食行動が変化しているものと考えられる。
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