2001 Fiscal Year Annual Research Report
放牧草地における草質の空間的不均一性の動態と家畜の採食戦略の二次元解析
Project/Area Number |
12760181
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小倉 振一郎 宮崎大学, 農学部, 助手 (60315356)
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Keywords | 空間的不均一性 / 草地植生 / 滞在時間 / バイト数 / バイトレート / パッチ選択 / フィーディングステーション / 放牧牛 |
Research Abstract |
草地植生と放牧家畜の採食行動との関係をフィーディングステーション(FS)レベルで明らかにするため,以下の2つの試験を実施した。 1.バヒアグラス草地(1.1ha)と肉用繁殖雌牛2頭を供試し,5,8および10月の放牧期間中の毎日,9,12および15時の3回,各個体の採食行動を観察し,各FSにおける滞在時間とそこでのバイト数およびFS間移動歩数を記録した。またこれらの測定項目からFS訪問速度(=訪問FS数/調査時間)およびバイトレート(=バイト数/滞在時間)を算出した。 2.バヒアグラス草地内に8m×8mの調査区域を2つ設け,各区域内にコドラート(50cm×50cm)を縦横連続的に固定した(16×16=256地点)。5〜11月の毎月,各地点の草量を草量計により非破壊的に求めた後,肉用牛を1頭ずつ調査区域内に放牧し,FS滞在時間とそのFSでのバイト数を記録した。FSの位置はレーザー距離測定器により測定した。 これらの結果から,以下のことが明らかとなった。1.春に草量の多い地点は質も高いため,牛は草量の多い地点に長く滞在しかつ多くのバイトをした結果,バイトレートは低く,FS訪問速度も低かった,2.夏になると,牛は質の高い草冠の上部をつまみ食いしながら移動するためFSあたりバイト数と滞在時間は減少し,FS訪問速度が大きくなった,3.秋に草量の多い地点は茎や枯死部の割合が高く質が低いため,牛は質の比較的高い地点(=草量の低い地点)を多く訪問した結果,バイトレートが高くなった。また本研究より,採餌-移動(探索)の繰り返しから成る家畜の採食行動には,植生に依存しない,動物特有の周期性が存在することが示唆された。 今後,植生の部位別構成(緑葉,茎,枯死)とその採食割合を明らかにすることで,不均一な植生の元での放牧家畜の養分摂取の実態が明らかになるものと考えられる。
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