2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウトリーシュマニア原虫の作出および生ワクチンとしての有効性の検討
Project/Area Number |
12760197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90251420)
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Keywords | リーシュマニア / Leishmania donovani / L. amazonensis / LACK / 遺伝子ノックアウト / 遺伝子クローニング / アンチセンス / リボザイム |
Research Abstract |
遺伝子欠損リーシュマニァ原虫株を利用した弱毒生ワクチンは,病原性を獲得した復帰変異体が出現しないことから安全性の面で有望視されている.本研究の目的は,Leishmania homolog of Ckinase receptor (LACK)遺伝子ノックアウトリーシュマニア原虫を作製し,組み換え原虫の病原性・免疫原性等を検討し,ワクチンとしての可能性を探ることにあった. これまでに、L..donovaniおよびL..amazonensisプロマスティゴートより抽出した細胞DNAを用いたサザンブロット解析により,LACK遺伝子は,リーシュマニア原虫ゲノム中に2コピー存在することが示唆された.その後,MboI部分消化によりゲノムライブラリーを作成しているが,LACK遺伝子のクローニングには至らなかった. 一方で,LACKはL. majorにおいて,マウスCD4陽性T細胞の標的分子の一つとして知られており,Th2誘導,Th1抑制を引き起こす事で病変悪化に関与するとされることから,L. amazonensis感染による病変形成へのLACKの関わりを調べた.原虫から得たmRNAを基にRT-nestedPCR法を行い,LACKcDNAの塩基配列を決定した.既知LACK(L. major, L. braziliensis, L. infantum, L. chagasi, L. donovani)との比較により,塩基配列で97.3%,アミノ酸配列で98.7%以上の相同性を認め,この蛋白が種内で高度に保存されている事が確認された.Laに感受性のBALB/cに,精製した組換えLACK蛋白を接種した群では,PBS(-)接種群に比べ,その後の原虫接種による病変形成の早期化と病態の悪化が認められた事から,LACK抗原が,Laを原因とする本症でも病態の悪化に関わる重要な原虫抗原であることが示唆された.この事から,Lm感染と同様に,LACK蛋白がLa感染においてもTh2誘導,Th1抑制により病変悪化に関与している可能性が考えられた.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 奥野孝浩, 竹内誠, 大塚治樹, 松本芳嗣, 松本安喜: "Preteatment of Leishmania homologue of receptors for activated C kinase (LACK) promotes disease progression of leishmaniasis caused by Leishmania amazonensis"Experimental Animals. 51(3)(In press). (2002)