2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ胎盤停滞発生メカニズムの検証 胎盤組織における細胞外マトリックス制御機構の解析
Project/Area Number |
12760207
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
高木 光博 帯広畜産大学, 畜産学部・獣医学科, 助手 (40271746)
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Research Abstract |
ウシでは分娩誘起を行うと胎盤停滞の発生率が高くなる。この誘因を調べるためProstaglandinF2 α(PGF2 α)製剤投与による分娩誘発後の胎盤組織中ホルモンを測定することにより、胎盤停滞との関係を調べた。臨床的に特に異常を認めない、24-63カ月齢、妊娠273-280日目のホルスタイン牛14頭を用いた。このうち9頭に対し妊娠274日目にPGF2α製剤を筋肉内に1回投与し分娩誘発を行なった。また、無処置にて分娩した牛を対照群(n=5)とした。組織サンプルは分娩後0、6時間に経膣用手法にて採取し、直ちに液体窒素にて凍結してそのまま抽出時まで保存した。それぞれのサンプルについて抽出を行った後、胎盤組織中のP4、Estradiol-17 β(E2)、PGF 2α、ProstaglandinE2(PGE2)、Oxytocin(OT)、Endothelin-1(ET-1)、Angiotensin II(Ang II)の濃度を、Enzyme immunoassay(EIA)法により、Oxytocin receptor(OT-R)の濃度を、Radio receptor assay(RRA)法によりそれぞれ測定した。 胎盤停滞を起こした個体は、処置した群9頭のうち6頭で、発生率は66.7%であった。分娩誘発と胎盤停滞との関係を調べるため、分娩誘発により胎盤停滞した群をRetained群(n=6)、しなかった群をNon-Retained群(n=3)、無処置群をControl群(n=5)に分けて、各群間で比較検討を行った。各群の胎子胎盤中の各ホルモンについて比較を行ったところ、Retained群のPGF2αとOT-R濃度がControl群よりも低くかったが、その他のホルモンに有意な差はみられなかった。母体胎盤中では分娩後0、6時間後でOT濃度がRetained群でNon-Retained群より有意に低い値を示したが、Control群との間に差がみられなかった。また、OT-R濃度は、Control群でRetained群より有意に高かった。 分娩誘発により胎盤停滞した群で胎盤中のPGF2α、OT、OT-R濃度が低い値を示したことから、これらの子宮収縮に関与するホルモンが胎盤の剥離に重要な役割をしていると思われた。
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