2000 Fiscal Year Annual Research Report
イヌのアトピー性皮膚炎における共刺激シグナル抑制を利用した治療法の開発
Project/Area Number |
12760209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 健一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40313077)
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Keywords | イヌ / アトピー性皮膚炎 / CTLA-4 / 共刺激シグナル分子 / CD80 / 実験的スギ花粉感作 / 末梢血単核球 / 減感作療法 |
Research Abstract |
CTLA-4を用いた臨床治療試験の予備的・基礎的データを得るために、イヌの共刺激シグナル分子群(CD80,CD86,CD28,CTLA-4)のmRNAの発現解析系の確立し、これらについて検討した。イヌのアトピー性皮膚炎の実験モデルとして、健常犬にアラムアジュバントとスギ花粉粗抗原を用いて実験的にスギ花粉感作を誘導し、これらイヌを用いてスギ花粉抗原刺激時の末梢血単核球における共刺激シグナル分子のmRNAの発現をReal time sequence detection systemを用いてスギ花粉抗原刺激前、刺激後24時間、刺激後48時間で検討した。同時にリンパ球刺激試験を行い、リンパ球の芽球化反応とこれら分子の発現パターンの関連についても検討した。その結果、CD86,CD28の発現は抗原刺激に関わらず、一定した傾向を認めたが、CD80の発現は抗原刺激とともに増加する傾向が認められた。一方、抑制性のシグナルを出すCTLA-4はmRNAの発現は抗原刺激後48時間までには認められなかった。また、検討したすべての実験的感作犬において、スギ花粉抗原による抗原特異的なリンパ球芽球化反応が認められた。 以上のことから、抗原刺激に対してはイヌにおいてはCD80の発現が抗原特異的な芽球化反応の早期に上昇することがわかった。このことから、イヌにおいてはマウスと異なり、抗原刺激初期にはCD80が主要な共刺激シグナルを送る役割を担っていることが示唆された。また、これら芽球化反応を抑制するCTLA-4の発現は抗原刺激後48時間までには全く認められず、CTLA-4の発現を増強することによって、抗原特異的なリンパ球の芽球化反応を抑制することできると思わた。 現在、実験的感作犬を用いた減感作療法において、これら分子の発現動態を継続して検討中である。さらに、最終的な臨床応用としてCTLA-4とイムノグロブリンFc領域との結合蛋白の利用を検討中であり、現在、目的蛋白の精製を行っている。
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