2000 Fiscal Year Annual Research Report
イニシエーション活性検索法に基づいた中期発がん試験法の開発
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12760211
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
酒井 洋樹 岐阜大学, 農学部, 助手 (40283288)
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Keywords | イニシエーション / 中期発がん試験法 / 肝臓 / CYP P450 / 細胞増殖 / 加算効果 |
Research Abstract |
ラット肝を用いたin vivoイニシエーション活性検索法の確立にあたり,第一に必須かつ重要な肝増殖刺激のイニシエーション活性検出に与える影響を細胞増殖動態と発がん前駆物質を活性化する代謝酵素(CYP P450)の動態より検討した.肝部分切除では,高度かつ律動的な細胞増殖が誘導され,CYP P450mRNAは,肝部分切除後急激に減少するが,72時間後より回復に転じた.一方,被験物質であるDMHを代謝活性化するCYP 2E1タンパク質はほとんど変化なく,ラット肝前がん病変であるGST-P陽性巣の誘導は,DMHの代謝時間を時間差として,細胞増殖動態と高い相関性を示した.CCl_4投与を細胞増殖として用いた場合,投与36時間後から約24時間,投与60時間後を最大に高細胞増殖期が持続したが,CYP P450mRNAおよびCYP 2E1タンパク質ともに,激減し,72時間後から回復してきた.GST-P陽性巣の誘導は,代謝酵素の回復に伴い増加した.以上より,肝部分切除の場合,イニシエーション成立は細胞増殖に依存し,CCl_4投与によって細胞増殖を誘導した場合は,薬物代謝酵素の回復に依存してイニシエーションが成立することが明らかとなった. 次に,イニシエーション活性検索法において,被験物質の少量反復投与による加算効果を検討した.肝部分切除およびCCl_4投与を細胞増殖刺激に用いた場合ともに,同一量を単回投与するのと,少量分割投与するのでは同等の効果があり,特に大量投与では毒性の強い化学物質を検索する場合に非常に有効と考えられた.さらに,肝部分切除により細胞増殖を誘導した後に種類の異なった発がん物質を少量連続して投与しても,イニシエーション活性が加算されることが明らかになり,通常,生体は多くの化学物質に暴露されており,イニシエーションは様々な物質で引き起こされ,加算されうることが示唆された.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 酒井洋樹: "肝部分切除(PH)にるイニシエーション活性検索性におけるイニシエーションの成立と肝P450の動態および細胞増殖動態との関係"第130日本獣医学会学術集会講演要旨集. 130. 242 (2000)
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[Publications] 酒井洋樹: "イニシエーション活性検索法におけるイニシエーション活性の加算効果"第130日本獣医学会学術集会講演要旨集. 130. 242 (2000)
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[Publications] 酒井洋樹: "四塩化炭素(CT)を細胞増殖刺激に用いたイニシエーション活性検索法におけるイニシエーションの成立と肝P450の動態および細胞増殖動態との関係"第130日本獣医学会学術集会講演要旨集. 130. 242 (2000)
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[Publications] 酒井洋樹: "イニシエーション活性検索法における標的臓器の異なる化学物質間のイニシエーション活性の加算効果の検討"第17日本毒性病理学学会講演要旨集. 17. 54 (2001)