2000 Fiscal Year Annual Research Report
犬僧帽弁閉鎖不全症例における血中サイトカイン動態とω-3脂肪酸の病態改善効果
Project/Area Number |
12760216
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷 浩行 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (00305658)
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Keywords | 犬 / 僧帽弁閉鎖不全症 / ω-3不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
うっ血性心不全に伴い、炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-1β発現量が増加し心臓性悪液質を進行させることが示唆されており、ω-3不飽和脂肪酸の病態改善効果が期待されている。本研究ではうっ血性心不全を伴う疾患としてイヌに多く認められる僧帽弁閉鎖不全症に着目し、ω-3不飽和脂肪酸の給与による病態改善効果について検討した。1.血液中TNF-αおよびIL-1β濃度とその遺伝子発現量の測定方法の確立:イヌ血中TNF-α濃度は、ヒトTNF-αELISAキットを流用することにより最小検出感度13pg/ml plasma、測定内および測定間変動係数はともに13%以下の精度で測定することが可能であった。しかし、イヌ血中IL-1β濃度はヒトELISAキットで測定することはできなかったため、バイオアッセイ法について検討している。遺伝子発現量に関してはTNF-αおよびIL-1βともにcompetitor比は直線的に増減し、同様の手法を用いたβ-actin遺伝子発現量を標準として、血中有核細胞におけるそれぞれの遺伝子発現量を測定可能であると思われた。2.臨床データの収集:10頭の患犬にω-3不飽和脂肪酸を含む魚油を8週間連続経口投与し、2週毎に一般身体検査、血液採取、心エコー検査および心カラードップラ検査を行った。併発疾患の有無により2群に分類し検討したところ血液生化学検査では併発疾患の見られた群において血中CPKおよびLDH値の減少傾向が認められた。血球計算検査、心エコー検査および心カラードップラ検査においては有意な変化および傾向は認められなかった。今後、もっと大規模な二重盲検を行うとともに血液中のサイトカイン濃度およびそれらの遺伝子発現量の測定を行っていく予定である。
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