2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760221
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 助教授 (50232434)
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Keywords | ザゼンソウ / 発熱植物 / 恒温植物 / 熱産生プロセス / ミトコンドリア / 脱共役タンパク質 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
脱共役タンパク質(uncoupling protein:UCP)はミトコンドリアの呼吸により生じたプロトン勾配をATP合成と共役せずに解消し、生じた自由エネルギーを熱として放出することが知られている。私は、発熱植物であるザゼンソウの肉穂花序で特異的に発現している2種類の新規UCP関連遺伝子(SfUCPa & SfUCPb)の単離に成功し、これらの発現が低温で誘導されることを明らかにしてきた。 本研究ではSfUCPaおよびSfUCPbの出芽酵母における発現系を構築し、誘導される形質の変化について解析した。実験はpESCベクターのGal10プロモーターの下流に両遺伝子を挿入し、塩化リチウム法により出芽酵母に導入し、選択培地によって遺伝子組み換え酵母を選抜した。さらに、得られた遺伝子導入酵母をガラクトース添加培地で培養した結果、SfUCPaおよびSfUCPb遺伝子を導入した株の増殖は野性株に比べて有意に抑制されることが判明し、その効果はSfUCPB発現株でより顕著であることが明らかになった(野性型の55%阻害)。また、SfUCPAおよびSfUCPB発現株におけるミトコンドリア内膜の膜電位を蛍光プローブを用いて解析したところ、それぞれの遺伝子を発現している株における膜電位は野性株と比較して有意に低下していることが判明し、またその効果はSfUCPB発現株でより大きいことが明らかになった。これらの結果はザゼンソウ由来のUCP関連遺伝子がミトコンドリアにおける脱共役反応に密接に関与していることを示唆していると考察された。
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Research Products
(1 results)