2001 Fiscal Year Annual Research Report
マウス遺伝学的手法を用いた脳視床下部における食欲制御機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
12760231
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
喜田 聡 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (80301547)
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Keywords | 食欲 / 摂食行動 / トランスジェニックマウス / CREB / Glycogen phosphorylase / Adenylate kinase 3 / NPY / Orexin |
Research Abstract |
(1)視床下部特異的に働く食欲制御遺伝子群のプロモーター解析 昨年度に引き続き、Agrp、MCH、OX1Rなどの食欲制御ペプチド及びレセプター群のプロモーターをゲノムライブラリーから取得し、NPYやorexinのプロモーターと共に、培養神経細胞におけるプロモーターの機能解析を行った。現在までの解析から、NPY、Agrp、OX1Rのプロモーター上にcAMP-responsive element(CRE)の存在を明らかにした。 (2)視床下部における摂食状態に応答した遺伝子発現制御機構の解析 昨年度摂食状態に応答して発現制御を受ける遺伝子群として、Glycogen Phosphorylase(GP)を同定しており、今年度は、新たにAdenylate Kinase3(AK3)を同定した。これら遺伝子群は、絶食させた場合に、視床下部の摂食中枢において発現レベルが上昇し、再給餌により速やかに発現レベルが低下することが明らかとなった。また、これら遺伝子群の活性化は神経細胞の活性化と強く相関するとの知見から、発現変動により摂食中枢の活性化のOn-OFFを担うものと考察した。 (3)視床下部における遺伝子発現制御システムのメカニズムの解析 (1)の結果と、GPのプロモーター領域にもCREの類似配列が多数存在したことから、食欲制御因子群の発現制御に転写調節因子CREBの関与が示唆されたため、摂食状態に応じて、CREBの転写活性化の指標となるリン酸化の有無について免疫組織学的手法により解析を行った結果、絶食状態では、摂食中枢においてリン酸化CREBが増加し、逆に、満腹中枢では減少することが示され、CREBが摂食状態に応じて摂食制御因子群の発現制御に関わることが示唆された。 (4)トランスジェニックマウスの作出と解析 視床下部オレキシンニューロンにおいてCREを介する転写を抑制するために、(1)で単離されたオレキシンプロモーターでドミナントネガティブ型のCREBを発現させる外来遺伝子を作出し、現在トランスジェニックマウスの作出を行っている。また、トランスジェニックマウスにおいてCREを介する転写活性の変化も解析している。
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[Publications] S. Kida, S. Josselyn, S. Pena de Ortiz, J. Kogan, S. Masushige, A. Silva: "CREB required for the stability of new and reactivated fear memory"Nature Neuroscience. (in press). (2002)
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[Publications] 喜田聡, 内田周作, 舛重正一: "レチノイン酸による情動行動制御"細胞. 34. 12-15 (2002)
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[Publications] 喜田 聡: "新しい遺伝子操作マウスによる学習・記憶研究"BRAIN MEDICAL. 13. 35-42 (2001)
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[Publications] 喜田 聡, 岩本 拓: "生細胞内のタンパク質間相互作用の可視化技術の開発"BIO INDUSTRY. 18. 15-25 (2001)
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[Publications] Yamauchi J, Iwamoto T, Kida S, Masushige S, Yamada K, Esashi T: "11.Tocopherol-associated protein is a ligand-dependent transcriptional activator"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 285. 295-299 (2001)
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[Publications] 喜田 聡: "脳機能に対するトリプトファンの役割の行動学的解析"食品工業. 44. 18-26 (2001)