2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770009
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本間 智 熊本大学, 医学部, 助手 (40285581)
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Keywords | 腰仙骨神経叢 / ヒト / 線維解析 / ラット / 免疫染色 / 肉眼解剖 |
Research Abstract |
ヒト下肢内転筋のうち大内転筋の上部が独立したものを小内転筋と呼ぶが、通常は腰神経叢由来の閉鎖神経後枝により支配される.また外旋筋の一つである大腿方形筋は腰仙骨神経叢由来の坐骨神経の最腹側の神経に支配される.時に小内転筋は閉鎖神経後枝と大腿方形筋の支配神経とにより二重支配を受ける.このような二重支配については1.大腿方形筋に支配されるべき筋成分が小内転筋の形態をとった、2.小内転筋を支配する閉鎖神経後枝の成分の一部が経路を変更し大腿方形筋の筋枝を経由した、という2つの可能性がある.そこでどちらが妥当であるのかを調べるために、特に小内転筋上縁には両方の神経が分布していることから、筋の上縁に分布する神経の線維解析を行った.その結果、閉鎖神経後枝からの支配神経の分節は第2と第3腰神経分節であり、大腿方形筋筋枝からの支配神経の分節は第4と第5腰神経分節で両神経の分節は重ならないことがわかった.従って神経線維の経路変更は考えにくい.この例は腰仙骨神経叢における分節的な境界の移動であるが、腰神経叢における背腹境界の移動として副閉鎖神経の存在、恥骨筋や長内転筋の大腿神経と閉鎖神経とによる二重支配が知られている.今年度の調査では恥骨筋と長内転筋が独立せずに、境界不明瞭な1枚の筋板となっている例に遭遇した.この筋板には伸側から大腿神経の枝が、屈側から閉鎖神経前枝が分布し、筋板の分離様式が大腿神経と閉鎖神経の境界領域の移動を説明する鍵となるものと考えた. さらに今年度はラット胎児を用いてホールマウント免疫染色による下肢の神経の観察を行ったが、ヒト所見から示唆されるように、神経のみならず筋の発生様式、すなわち筋原基から各筋への分化を併せて観察する必要があると考えて現在、神経線維とMyoDファミリー蛋白質との免疫二重染色を試みている.
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