2000 Fiscal Year Annual Research Report
消化管ニューロンネットワーク形成における軸索ガイダンス機構の組織化学的解析
Project/Area Number |
12770010
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
下田 浩 大分医科大学, 医学部, 助手 (20274748)
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Keywords | 消化管神経 / 軸索ガイダンス / 組織化学 |
Research Abstract |
1.ラットの小腸の筋層間神経叢を切除し、吸収性薄膜を装着した実験モデルを確立した。 2.本実験系における腸管神経の再生伸長様式について組織化学的手法を用いて解析し、その投射マップを作成した。これにより次のことが明らかになった。 (1)術直後より神経近位切断端の膨張がみられ、ここを成長点として多数の神経突起が出現し、それらは平均約0.1mm/日の速度で腸管壁を輪走または縦走しながら伸長する。 (2)再生神経は、徐々にある程度の集団で集束し、伸長を続け、神経束が形成されていく。これらは分岐、吻合しながら腸管神経系特有のネットワークを形成する傾向を示す。 3.再生神経の形態変化を透過型および走査型電子顕微鏡で観察することにより次のことが明らかになった。 (1)切断された神経突起群は術直後より著明な変性、断片化を示し、主に神経束内に侵入した大食細胞により処理される。 (2)その後まもなく、近位断端部の神経細胞体に軸索反応がみられ、腫張した突起断端より再生芽が出現し、迷行しながら伸長する。 (3)その後、近位断端部より増殖、移動した腸管グリア細胞が再生神経突起に接着し、基底板の形成を伴い、神経束を形成し、再生性の平滑筋束に沿って、急速に伸長していく。 以上より、腸管神経の再生現象とともに組織の修復に伴う神経回路の再形成過程が判明した。これを基礎的知見として、平成13年度は腸管神経回路形成の分子機構を探究する。
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