2000 Fiscal Year Annual Research Report
GDNFおよびGFRa-4の胚の左右非対称性の形成や神経細胞の分化における役割
Project/Area Number |
12770012
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 俊作 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20261795)
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Keywords | 栄養因子 / 形態形成 / 遺伝子導入 / エレクトロポレーション / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
味覚情報を中継する脳神経の3つの神経節はneural crestに由来するのではなく、体側の外胚葉が肥厚したepibranchial placodeに由来する。正常なニワトリ胚においてはGDNF遺伝子がepibranchail placode近傍の内胚葉で発現していることから、GDNFがこれら神経節細胞の分化に何らかの役割を果たしていると考えられる。このGDNF遺伝子の役割を調べるために、今年度はGDNF遺伝子を異所性に強制発現させるためのベクターの作製を行い、続いて電気穿孔法を用いてこの遺伝子をdistal gangliaが形成される予定領域近傍の内胚葉において強制発現させることを試みた。しかしながら、極めて発生初期のニワトリ胚内胚葉に問題なく遺伝子を導入できる条件を見つけることができなかった。また、GFRa-4遺伝子が、将来胃となる部位の左側の内胚葉のみで発現していることから、この遺伝子の胚の左右非対称性の形成に果たす役割についても調べた。本年度は、GFRa-4遺伝子のクローニングと発現ベクターの作製を行い、続いて電気穿孔法を用いてこの遺伝子を異所性(右側の内胚葉)に強制発現させることを試みた。しかしながら、GDNF同様、有効にこの遺伝子を内胚葉に発現させるための条件を見つけることができなかった。 以上の結果は、胚の比較的深部にある内胚葉に外来遺伝子を導入するために用いる電気穿孔に際しての比較的高い電圧や長い刺激時間が、胚の正常な発達や生存に厳しい条件であることを示しており、本研究においてはより侵襲の少ない遺伝子導入法を用いる必要があると考えられる。現在、侵襲の少ない遺伝子導入法としてレトロウイルスを用いて遺伝子導入を行うための、ウイルスベクターの作製を行っている。
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