2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞膜プロゲステロン受容体のラット脳における発現部位と分子機構の解明
Project/Area Number |
12770026
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉山 仁 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70301596)
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Keywords | プロゲステロン / 細胞膜受容体 / ラット / 脳 |
Research Abstract |
近年、ステロイドホルモンであるプロゲステロンの細胞膜受容体と思われるタンパク質(PMBP)がブタの肝臓から同定された。研究代表者はPMBPのラットホモログであるRPMBPの全長cDNAを小脳、卵巣からクローニングし、その塩基配列(約2kbp)を決定した。小脳および卵巣から単離されたcDNAは同一であり、RPMBPの塩基配列はブタPMBPのそれと高い相同性を示した。さらに、ラットの卵巣、小脳、大脳、視床および視床下部、その他の脳組織、からそれぞれRNAを抽出し、RPMBPの発現をノーザンブロット解析した結果、すべての部位においてRPMBPの発現が確認された。これまでに、肝臓、筋肉、腎臓などで発現が確認されているほか、小脳での発現も確認されている。しかしながら、小脳以外の部位での発現に関しては報告されていない。この分子を介して神経細胞の活動が変化しうるかどうか、非常に興味深い。 PMBPはその予想される機能から他のホルモンによって発現の調節を受けている可能性が高い。そこで、研究代表者はRPMBP遺伝子の上流域を解析し、他のホルモンによる発現調節に関する情報を得ることを試みた。ラットのゲノムライブラリーからRPMBPをコードするゲノムDNAを単離した結果、3つのポジティブクローンが得られた。これらの塩基配列を決定したところ、これらクローンはすべて同一の塩基配列であった。このゲノムDNAとcDNAの塩基配列を比較したところ、ゲノムDNAにイントロン構造は含まれておらず、さらに十数残基の欠損が確認された。この欠損によりフレームシフトが起こり、クローン化されたゲノムDNAから正常なタンパク質の発現は不可能である。これらのことから今回クローン化されたゲノムDNAはpseudogeneであると推測される。
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