2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト睡眠覚醒リズムの振動機構の解明:モデル動物を用いた神経科学的解析
Project/Area Number |
12770028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 拓郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40256342)
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Keywords | 睡眠覚醒リズム / 概日リズム / 視交叉上核 / 脳波 / レム睡眠 / 徐波睡眠 / 周波数解析 / メタンフェタミン |
Research Abstract |
ヒト睡眠覚醒リズムの振動機構の解明するために、モデル動物を用いて神経科学的解析を行った。モデル動物としてメタンフェタミン慢性処置ラットを使用した。メタンフェタミン慢性処置ラットの行動リズムは24時間の明暗条件下において24時間より長い周期を示し、視交叉上核リズムから乖離する。この行動リズムはヒトの隔離実験でしばしば出現する内的脱同調や、非24時間睡眠覚醒症候群の睡眠覚醒リズムと類似しており、視交叉上核リズムから乖離する点でモデル動物としての必要条件を満たしている。そこで、平成12年度は、睡眠覚醒リズムを駆動している振動機構と、概日リズムを形成している視交叉上核との関係を調べるために、24時間明暗条件下すなわち視交叉上核リズムが24時間に固定された状態で飼育されたモデル動物に、無線式脳波・筋電センサーを埋め込み睡眠覚醒リズムおよびその構造を調べた。脳波・筋電測定は行動リズムと視交叉上核リズムが正位相(休息位相が明期に一致)の時と逆位相(休息位相が暗期に一致)の時に行った。脳波は高速フーリエ変換にて周波数解析を行い、睡眠ステージ判定は視察にて行った。結果、睡眠の長さは正位相で長く、逆位相で短くなった。またレム睡眠は逆位相時に、睡眠前半に多く出現した。徐波帯域における脳波のパワー値は、入眠直後に最高値に達しその後漸減したが、その傾向に位相依存性はなかった。これらの結果から、睡眠の長さとレム睡眠は視交叉上核からの影響を受けるが、脳波の徐波は影響を受けないことが明らかになり、睡眠覚醒リズムの振動機構には視交叉上核からの支配を受ける成分と受けない成分が存在することが明らかになった。平成13年度は視交叉上核を破壊したモデル動物の睡眠覚醒リズムおよびその構造を調べ、視交叉上核の影響を全く受けない状態でも、睡眠覚醒リズムの振動機構が機能するか否かを調べ、振動機構の存在が視交叉上核外にあるか否かを調べる。
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[Publications] Takuro Endo, Mihoko Tsunoda, Sato Honma, Ken-ichi Honma: "Effects of SCN lesion on methamphetamine-induced sleep EEG in rats "Neuroscience Research. 24. S37- (2001)
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[Publications] 遠藤拓郎,本間さと,角田美保子,本間研一: "Methamphetamine 持続投与ラットにおける脳波パワー値のサーカディアン変動"日本生理学会誌. 63(1). 41 (2001)