2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12770051
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原田 直明 福岡大学, 医学部, 助手 (00309915)
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Keywords | 肝障害 / 虚血再灌流障害 / ATP / アデノシン / 類洞内皮細胞 / 好中球エラスターゼ / 5'-nucleotidase / 活性化好中球 |
Research Abstract |
1.培養血管内皮細胞の傷害時におけるプリン系化合物の細胞外代謝 ウィスター系雄性ラットの類洞内皮細胞を分離して初代培養を行い、リポポリサッカライド(100ng/ml)を加え、5'-nucleotidase活性を亢進させた。24時間後、培養上清中に定量のetheno-AMPを加え、5'-nucleotidaseにより代謝された液中のetheno-アデノシンを高速液体クロマトグラフィーで分離し、その濃度を蛍光分光光度計で測定して、5'-nucleotidase活性の指標とした。虚血再灌流性臓器障害の発生に重要な役割を担っている好中球エラスターゼを加え、内皮細胞を傷害するとetheno-アデノシンへの代謝は有意に低下したが、この低下は好中球エラスターゼの阻害剤であるONO-5046投与で抑制された。 2.肝虚血再灌流障害におけるプリン系化合物の細胞内代謝 ウィスター系雄性ラットを用い、肝の中葉と左葉を60分間虚血にした。再灌流後、肝アデノシン濃度は一過性に上昇したのち、急速に低下した。肝ATP濃度は、虚血により著明に低下し、再灌流後も回復しなかった。ONO-5046を前投与しておくと、再灌流後の肝アデノシン濃度の上昇には影響を与えなかったが、その後の肝アデノシン濃度の低下が有意に抑制され、肝アデノシン濃度の高値が持続した。肝ATP濃度は、再灌流後有意に上昇した。 これらの結果から、肝虚血再灌流によって活性化された好中球からエラスターゼが放出され、類洞内皮細胞上の5'-nucleotidaseを傷害し、アデノシン産生が低下して、肝細胞内のATP再合成が減少することで、肝傷害が発生する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Harada,N.,Okajima,K.,Liu,W.,Uchiba,M.: "Activated neutrophils impair gastric cytoprotection : Role of neutrophil elastase."Digestive Disease and Sciences.. 45巻6号. 1210-1216 (2000)
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[Publications] Harada,N.,Okajima,K.,Murakami,K.,Usune,S.,Sato,C.,Ohshima,K.,Katsuragi,T.: "Adenosine and selective A_<2A> receptor agonists reduce ischemia/reperfusion injury of rat liver mainly by inhibiting leukocyte activation."Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 294巻3号. 1034-1042 (2000)