2001 Fiscal Year Annual Research Report
DMAHP/SIX5の標的遺伝子の同定による筋緊張性ジストロフィーの病態解明
Project/Area Number |
12770075
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 滋 自治医科大学, 医学部, 講師 (70306108)
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Keywords | 筋緊張性ジストロフィー / ホメオボックス遺伝子 / 転写制御 / IGFシグナリング / 筋分化 / アデノウイルス / 遺伝子欠損マウス / DNAアレー |
Research Abstract |
SIX5遺伝子の発現量低下と筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)病態との関わりを明らかにするためには、転写因子SIX5によって発現が制御される標的遺伝子の同定が不可欠である。今年度は、活性化型Six5(VP16-Six5wt)をアデノウイルスベクターによりP19細胞で過剰発現させ、cDNAアレーを使って同定した標的候補遺伝子の1つ、IGFシグナル制御因子をコードするIgfbp5遺伝子について詳細な解析を行った。まずIgfbp5遺伝子プロモーター上のSix5結合部位をレポータージーン解析、種々のin vitro結合実験により明らかにした。Six5は進化的に保存されたGCTCAAATTGCという配列(転写開始点の上流-72bpに位置する)に結合することがわかった。既知の標的遺伝子(myogenin、Atpla1)との比較からSix5結合コンセンサス配列(TCARRTTNC)を提唱することができた。またSix5欠損マウス繊維芽細胞におけるIgfbp5の発現レベルは1/2以下に低下しており、生体内でもSix5がIgfbp5遺伝子の転写活性化に関与することが確認された。Igf2遺伝子についても同様な結果が得られた。次にDM1患者由来の繊維芽細胞を骨格筋に分化誘導し、その過程におけるIGFBP5遺伝子発現量の変動を調べた。正常細胞では約2倍の発現増加が観察されたが、3種類の患者由来細胞では発現量はいずれも低下しており、IGFBP5遺伝子の制御の様相が変化していることが示された。本研究により中胚葉、体節、骨格筋、いくつかの筋特異的遺伝子、神経系で発現する遺伝子がSix5標的遺伝子として同定された。以上によりSix5はこれら標的遺伝子の制御を介して中胚葉系の組織、神経組織の構築と機能に関わるタンパク質であり、複雑なDM1症状の一部に関与する可能性が強く示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sato, S.: "Development of pigment cells in the brain of ascidian tadpole larvae : insights into the origins of vertebrate pigment cells"Pigment Cell Res.. 146(6). 428-436 (2001)
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[Publications] Sato, S.: "Functional conservation of the promoter regions of vertebrate tyrosinase genes"J. Investig. Dermatol. Symp. Proc.. 6(1). 10-18 (2001)
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[Publications] Sato, S.: "Identification of transcriptional targets for Six5 : Implication for the pathogenesis of myotonic dystrophy type 1"Hum. Mol. Genet.. (in press).