2000 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養細胞に発現しているトランスフォーメーション抑制遺伝子の単離と機能解析
Project/Area Number |
12770109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 直寿 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80314417)
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Keywords | 初代培養細胞 / サブトラクション / トランスフォーメーション / 癌抑制遺伝子 / periostin / 細胞癌化 / 低分子量G蛋白質 |
Research Abstract |
初代培養細胞に発現しているトランスフォーメーション抑制遺伝子を単離するため、ラット胎児初代培養細胞(REF)と株化細胞(F2408)を用いて、我々の研究室で高度に改良した包括的な遺伝子単離法であるcDNAサブトラクション法により、Subtracted cDNAライブラリー(1.6×10^4 cfu)を作製し、実際に発現量に差が認められる遺伝子を現在までのところ71種類単離しTRIF(Transcript Reduced in F2408)と命名した。 単離してきた遺伝子の一つであるTRIF52(periostin)は、多くの癌で高頻度に変異が報告されているヒト染色体13q領域にあることがデーターベース解析から分かった。そこで、TRIF52(periostin)とヒト癌の発生との関連について検討するため、多数のヒト癌細胞株でTRIF52(periostin)の発現をノーザンブロットにより解析した。その結果、periostinは、脳や脾臓を除くほとんどのヒト正常組織では発現していたが、多くのヒト癌細胞株(26/29種類中)でその発現が全く認められなかった。また、発現が認められなかった或いは発現量が少ないヒト癌細胞株LC4、T24、SAOS-2にperiostinを導入したところ、足場非依存性増殖が抑制された。これらのことから、TRIF52(periostin)の発現低下が、ヒト癌の発生に関与していることが示唆された。 TRIF遺伝子のうちの一つで新規遺伝子であるTRIF97のラット及びヒトcDNAをクローニングした。TRIF97は、そのアミノ酸配列から低分子量G蛋白質であることが推定され、Ras subfamilyに属するものと最も高い相同性を示した。TRIF97のアミノ酸配列は、ヒト、マウス、ラット間で高度(93%)に保存されていた.TRIF97とGFPとの融合蛋白質を作製し細胞内局在について検討したところ、主に細胞質に存在することが分かった。次にTRIF97は、低分子量G蛋白質であることが予想されることから、その活性に影響を及ぼす2種類の変異体の作製を行った。現在、これらの変異体、及び野生型のTRIF97を用いて、TRIF97が細胞のトランスフォーメーション(癌化)にどのように関わっているのか検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yoshioka,N.,Inoue,H.,Nakanishi,K.,Oka,K.,Yutsudo,M.,Yamashita,A.,Hakura,A.,and Nojima,H.: "Isolation of transformation suppressor genes by cDNA subtraction : Lumican suppresses transformation induced by v-src and v-K-ras."Journal of Virology. 74. 1008-1013 (2000)