2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770163
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀川 啓介 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (60313095)
|
Keywords | インターロイキン-5 / B細胞 / 誘導遺伝子 / 抗体産生 / クラススイッチ / Gene Chip |
Research Abstract |
IL-5は、B細胞や好酸球に作用するサイトカインであり、特にマウスB細胞ではその増殖、分化を誘導し、抗体産生やクラススイッチなどの現象に関わることが分かってきた。本研究は、このIL-5のもつ生理学的現象を分子レベルから解明するために、IL-5刺激によりマウス脾臓B細胞に誘導される遺伝子を同定することを研究目的として実験を行った。そこで、マウス脾臓B細胞にIL-5レセプターの発現誘導を引き起こすCD38単独刺激及びCD38とIL-5共刺激後の脾臓B細胞よりcDNAを作製し、Subtracted libraryを作製した。このlibraryからdifferential screeningを行い、誘導される遺伝子を同定した。シーケンスの結果、IL-5刺激で誘導されるものとして、IgG1やJ鎖などの免疫グロブリン、代謝、細胞周期、細胞骨格などに関与する遺伝子、さらに転写因子やシグナル伝達分子などが多数同定された。この中から、転写因子であるXbp-1(X-box binding protein)とPREB(Prolactin regulatory element Binding)に注目して、現在レトロウィルスを用いて、脾臓B細胞にこれらの遺伝子または変異遺伝子を過剰発現させてB細胞分化に対する影響をFACSやELISAにより解析中である。 さらに、Affymetrix社のGene Chipを用いて、B細胞でIL-5刺激で誘導される遺伝子を体系的、網羅的に検索した。解析の結果、約36000種類の遺伝子の中から発現上昇が高い遺伝子を約200遺伝子にまで絞ることができた。これらの中には、Xbp-1をはじめとするサブトラクション法で発現誘導の認められた遺伝子の他に、クラススイッチに必須であると報告されたAID(Activation-induced cytidine deaminase)やB細胞の終末分化に関与しているBlimp-1(B lymphocyte-induced maturation protein)などがあり、他の既知及び新規遺伝子の中にB細胞分化に関与する遺伝子があることが考えられた。今後は、今年度行ったサブトラクション法とDNA Chipで誘導されると分かった遺伝子の全長単離と機能解析を行っていく予定である。
|