2001 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞、脳卒中発症後の高血圧と高脂血症の治療の実際:再発予防の現状
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12770194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 邦彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (80314201)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 脳卒中 / β遮断薬 / アスピリン / 血圧 / 血清コレストロール値 |
Research Abstract |
平成11年1月より12月までの期間に、教育病院3施設に急性心筋梗塞の診断で入院し、生きて退院した患者139名、および、1施設に脳卒中(脳梗塞、脳出血)の診断で入院し、生きて退院した患者41名を対象として、カルテ調査を行った。 急性心筋梗塞の患者では、65%が男性で、全体の平均年齢は67歳だつた。退院時の平均血圧は121/70mmHgで、平均血清コレステロール値は172mg/dlだった。この中で一年後が確認できたのは82%であり、一年後の平均血圧は132/76mmHgで、平均血清コレステロール値は188mg/dlだった。 脳卒中の患者では、46%が男性で、全体の平均年齢は68歳だった。退院時の平均血圧は131/72mmHgで、平均血清コレステロール値は178mg/dlだった。一年後の確認ができたのは39%であり、一年後の平均血圧は125/76mmHgで、平均血清コレステロール値は202mg/dlだった。 このように、血圧と血清コレステロール値のコントロールについては、急性心筋梗塞および脳卒中の思者瑳ともに、比較的良好になされていた。一方、急性心筋梗塞の患者では、生命予後の改善効果がフンダム化比較試験により示されている、β遮断剤やアスピリンが退院時に処方されているものは、それぞれ12%と78%であった。また、硝酸薬は70%、HMG-CoA還元酵素阻害薬は22%に処方されていた。β遮断剤が処方されている患者の割合は、欧米諸国と比較して著しく低いと考えられた。一年後でも、β遮断剤14%、アスピリン70%と、同様の処方率であった。硝酸薬は63%、HMG-CoA還元酵素阻害薬は24%に処方されていた。再発率に関しては、経過観察中の欠損例が多いために、明らかにすることはできなかった。 今後、日本における根拠に基づいた医療の普及に関し、β遮断薬の処方率が低い理由の解明など、更なる調査、研究が必要と考えられた。
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