2000 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化早期発見・予防のための高血圧、糖尿病、高脂血症の治療指針に関する疫学研究-頚動脈エコー法を用いた検討-
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12770199
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高木 覚 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20295348)
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Keywords | 動脈硬化 / 脈波 / 糖尿病 |
Research Abstract |
糖尿病は動脈硬化および動脈硬化性疾患の最も重要な危険因子のひとつであり、動脈硬化性疾患発症前の早期に動脈硬化を評価、管理することは意義深いと考えられる。本研究は住民検診者において四肢のpulse wave velocity(以下PWV)を最近開発された血圧脈波測定装置ABI-formにて測定し、糖尿病における早期の動脈硬化の指標としての有用性を検討した。対象は平成12年度端野町住民検診者より無作為に抽出した男性232名(平均年齢65.2±9.5歳)である。測定項目は収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、body mass index(BMI)、空腹時血糖(FBS)、総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、HDLコレステロール、及びABI-form(日本コーリン社製)を使用し測定した両下肢のPWVとAnkle Brachial Pressure Index(API)である。空腹時血糖から耐糖能正常群(FBS<110mg/dl)、境界群(110≦FBS<126)、糖尿病群(126≦FBSまたは糖尿病治療者)の3群に分けて各測定項目を比較検討した。【結果】正常群、境界群、糖尿病群はそれぞれ185人(64.7±10.1歳)、24人(65.6±5.9歳)、23人(69.2±6.9歳)、SBPは境界群において正常群より高値であり(129.6±18.5vs138.5±16.3;p<0.05)、TCは糖尿病群において正常群より高値であった(186.4±30.6vs200.7±31.4;p<0.05)。PWVは正常群、境界群、糖尿病群と耐糖能障害の進行に伴い高値を示し(右 PWV正常群1518.1±272.5cm/sec、境界群1678.4±342.4、糖尿病群1754.5±334.5、左PWV1516.7±274.8、1668.1±297.3、1786.6±346.0)、境界群、糖尿病群では正常群と比較して有意に高値であった(右PWV p=0.006、左PWV p=0.0009)。一方、APIは3群間で差異を認めなかった。PWVを目的変数として重回帰分析を行うと、年齢、血圧値、血糖値が有意な説明変数として採択された。【結論】PWVは耐糖能障害の進展と共に上昇しており、臨床症状出現、APIの低下を来す前の早期動脈硬化を検出できる可能性が示唆された。また耐糖能障害においては、境界群からすでに動脈硬化が進展している可能性が示され、動脈硬化の予防の観点からは境界群から厳重な管理が望まれる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高木覚,斉藤重幸,島本和明: "北海道農村部における耐糖能異常の生命予後に及ぼす影響-端野・壮瞥研究(18年間の前向循環器疫学調査)から-"糖尿病. 41巻4号. 257-265 (1998)
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[Publications] 青山真也,斉藤重幸,高木覚,島本和明: "高インスリン血症と心血管疾患危険因子との関連"糖尿病. 42(7),. 495-502 (1999)
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[Publications] Takagi S,Shimamoto K, et al: "Relationship between blood pressure level and mortality rate : an 18-year study conducted in two rural communities in Japan"Journal of Hypertension. 18. 139-144 (2000)