2000 Fiscal Year Annual Research Report
人造鉱物繊維の生体影響に関する5ブロモ2デオキシウリジン(BrdU)を用いた研究
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12770208
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大神 明 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (40301692)
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Keywords | 人造鉱物繊維 / BrdU / 骨髄 / 炎症細胞 |
Research Abstract |
【平成12年度の実験内容】平成12年度は、実験動物にチタン酸カリウムウィスカを単回気管内注入し、注入後1週間と注入後3ヶ月の各時点での肺の炎症による末梢血液像の変化と、骨髄での炎症細胞産生の変化を観察した。 【方法】BrdU(100mg/kg)をウサギ(n=18)に静注し、24時間後に50mg/2.5mlのチタン酸カリウムウィスカ(PT1)を気管支鏡下に気管内注入した。注入後1週間(実験1)と注入後3ヶ月(実験2)の各時点で、経時的(注入後0、6、12、24、48、72、96、120、144、168時間の各点)に耳動脈より採血を行い、末梢血液像の解析と免疫染色によるBrdU陽性PMN(PMN^<BrdU>)数を測定した。対照群として生食を、比較群として石英粉じん(Min-U silica)をそれぞれ同様に気管内注入した。 【実験1の結果】PT1気管内注入群(n=6)は、末梢血中PMN数では生食群(n=6)と差はなかったが、桿状核球数のPMNに対する割合は観察期間中で生食群に比べ増加している傾向が見られた。また、末梢血中のPMN^<BrdU>出現は対照群に比べ早い時間で末梢血中に出現していた。末梢血中のPMN^<BrdU>数より推算された骨髄でのPMN滞留時間は、特に分裂後期の細胞群において石英粉じん群(n=6)と同様に、生食群に比べ短縮しており、PT1が肺に注入されたモデルでは骨髄での炎症細胞産生の亢進が示唆された。 【実験2の結果】気管内注入後3ヶ月の時点で、末梢血中のPMN^<BrdU>数より推算された骨髄でのPMN滞留時間は、石英粉じん群と同様に、生食群に比べ短縮する傾向を認め、骨髄の細胞産生に対する影響が持続していることが示唆された。
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