2001 Fiscal Year Annual Research Report
人造鉱物繊維の生体影響に関する5ブロモ2デオキシウリジン(BrdU)を用いた研究
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12770208
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大神 明 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (40301692)
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Keywords | 人造鉱物繊維 / 結晶質シリカ / BrdU / 骨髄 / 好中球 |
Research Abstract |
【平成13年度の実験内容】平成13年度は、実験動物に結晶質シリカまたはチタン酸カリウムウィスカ(PT1)を単回気管内注入し、注入後48時間および96時間の時点で肺の組織変化に骨髄由来の未熟な好中球がどの程度関連しているかについて、肺組織、気管支肺洗浄液(BAL)中にBrdU陽性PMN(PMN^<BrdU>)がどの程度出現するかを同定することにより検討した。 【方法】BrdU(100mg/kg)をウサギ(各群n=3)に静注し、24時間後に50mg/2.5mlの結晶質シリカ(MinU-5silica)またはPT1を気管支鏡下に気管内注入した。対照群は生食を気管内注入した。注入後48時間後と96時間後に解剖し、BAL液(60ml生食注入)、肺組織を採取した。あわせて末梢血も採取した。BAL液と血液は細胞数と分画をカウントし、BrdUにて免疫組織染色し、PMN^<BrdU>数を測定した。肺組織は左肺を病理解析用とし、左肺を5つのセクションに分け、パラフィン包埋してそれぞれプレパラートを作成した。 【結果】結晶質シリカ注入後の各時点における肺組織像は、急性肺胞炎の像が一部に散見され、肺胞道から末梢気道にかけての局所的な上皮細胞の過形成と、軽度な炎症細胞浸潤が認められた。チタン酸カリウムウィスカ注入群においても同様に、急性肺胞炎の像と、繊維密集部位に対応した比較的顕著な炎症細胞浸潤が見られた。末梢血中のPMN^<BrdU>率は、0時間と96時間では粉じん注入群と対照群で有意差はみられなかった。しかし、48時間後では結晶質シリカ注入群で72.7%、対照群で57.8%と高発現傾向を認めた。BAL液中の好中球数は、いずれの粉じん注入群で有意に多く、48時間後での結晶質シリカ注入群のPMN^<BrdU>率は44.8%で、対照群では16.3%であった。気管内注入96時間後の肺組織におけるPMN^<BrdU>は注入群の炎症部位で顕著に認められた。以上の結果より、粉じん気管内注入後の肺での炎症反応では、骨髄由来の未熟な好中球の関与するところが大きいことが示唆された。
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Research Products
(1 results)