2000 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素(CO)曝露による神経細胞死の新機構の解明
Project/Area Number |
12770214
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
上園 崇 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70294387)
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Keywords | 一酸化炭素 / グルタミン酸 / 神経細胞死 / SH-SY5Y細胞 |
Research Abstract |
一酸化炭素中毒においては、器質的な遅延性障害として、大脳皮質、基底核および海馬の神経脱落が認められる。一酸化炭素中毒は、一過性の虚血に比べ、淡蒼球における壊死が顕著に観察される。この神経細胞死が虚血と同様に低酸素状態によるものか、一酸化炭素特有の機構に基づくものか明らかではない。これまで、ラットの一酸化炭素中毒モデルを用いた検討では、淡蒼球において、作用3時間後に、細胞外のグルタミン酸濃度が上昇することが明らかとなった。この結果から、その濃度上昇機構は単なるエネルギー不足によるグルタミン酸トランスポーターの逆回転とは異なることが示唆された。この神経細胞死の詳細な機構解明のために、ヒトドパミン神経細胞腫SH-SY5Y細胞を用い、基礎的な検討を行った。一酸化炭素で飽和させたダルベッコ変法イーグル培地で細胞を培養し、培地中に放出される神経伝達物質、グルタミン酸およびドパミンをHPLC法により測定した。また、形態学的な観察も行った。一酸化炭素飽和培地中には、コントロール培地中よりも、高い濃度のグルタミン酸が検出されたが、その差は小さかった。一方で、培地中のドパミン濃度はコントロール培地中よりも低く、ドパミンの放出は惹起されなかった。また、一酸化炭素を作用させた細胞において、作用後24時間までは、形態学的変化も観察されず、細胞死は誘導されなかった。しかしながら、これらの結果は、一酸化炭素が神経細胞死のコファクターとして働く可能性を否定するものではない。
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[Publications] Uezono et al.: "Glutamate is not involved in the MPP^+ -induced dopamine overflow in the striatum of freely moving C57BL/6 mice."Journal of neural transmission. (in press). (2001)
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[Publications] Matsubara et al.: "L-Deprenyl prevents the cell hypoxia induced by dopaminergic neurotoxins, MPP^+ and β-carbolinium : A microdialysis study in rats"Neuroscience letter. (in press). (2001)
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[Publications] Aoyama et al.: "N-methylation ability for azaheterocylic amincs is higher in Parkinson' s disease : nicotinamide loading test"Journal of neural transmission. 107(8-9). 985-995 (2000)