2001 Fiscal Year Annual Research Report
p51の発現誘導による癌の分化誘導療法の基礎的研究
Project/Area Number |
12770252
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長田 元伸 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 助手 (20313265)
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Keywords | p63 / p51 / p53 |
Research Abstract |
p51はp53と、アミノ酸配列では高い類似性を保つ分子であり、機能的にもアポトーシスを誘導するなど共通点は多い。しかしながら、ノックアウトマウスの表現型も全くことなることから、発生の過程では違った機能を担う分子である。前年度までの研究で、TA領域のアミノ酸残基50から69番がp51蛋白の不安定化をもたらすことが明らかになっており、同領域が紫外線照射や抗癌剤に応答して蛋白の安定化をもたらす。今年度はさらにすすんで、p51Bのカルボキシ末端に転写抑制領域と蛋白安定化領域があることを明らかにした。酵母を用いたtwo・hybrid assayでカルボキシ末端に結合する分子を単離し、同分子と共発現させるとp51が安定化することが明らかになり、現在その分子機構を検討中である。さらにアミノ末端側に結合する分子についてもクローニングを進めつつある。さらに今年度はp51の下流の標的遺伝子のクローニングに着手した。マイクロアレイを用いた検討で、p51Aによって活性化される遺伝子を抽出し、RT-PCR法およびノザンブロット法による確認をし、現在そのシスエレメントについて検討中である。既知のp53の標的遺伝子として知られている分子の活性化とともに、神経系に特異的に発現する分子も多数活性化されており強制発現ではp53, p63, p73の標的遺伝子はかなりのクロストークを起こしていると考えられる。また、p51Aはp51Bに比較して、非常に強い転写活性能をもつことがトランジエントトランスフェクションで明らかにされているが、テトラサイクリン誘導系では弱い活性のp51Bも長い時間発現させるとp51Aと同程度の標的遺伝子の発現を誘導しうるものがあることが明らかになった。p51Aとp51Bは時間的、空間的に異なった発現を示すが、その機能を考えて行く上で重要な知見であると思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Osada, M. et al.: "Regulatory domain of protein stability of human p51/TAP63, a p53 homologue"Biocheme. Biophys. Res. Commun,. 283. 1135-1141 (2001)