2000 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変症におけるAMA産生の自己免疫病態としての意義
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12770279
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
深田 弘幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60287282)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 抗ミトニコンドリア抗体 / レセプターエデイテイング / RAG |
Research Abstract |
本研究の目的は、原発性胆汁性肝硬変症(PBC)のB細胞の高頻度なレセプターエデイテイングの有無、AMA産生B細胞のレセプターエデイテイング異常の有無を検討することにより、PBCの病態形成への自己免疫反応の関与の有無を明らかにすることである。患者さんに、血液の一部を本研究に用いることを説明し承諾を得た後に採血した検体を用い検討し、以下の結果を得た。 1.B細胞の免疫グロブリン遺伝子のレセプターエデイテイング頻度の検討 分離B細胞をFACSによりシングルセルソーテイングし、免疫グロブリンκ鎖(Vκ)可変部領域の各サブファミリーに特異的なプライマーを用いたPCRを行い各Vkサブファミリーの発現率を検討したが、患者に特異的に発現するサブファミリーは存在しなかった。またB細胞のレセプターエデイテイングの有無および頻度を検討したが、PBC患者のB細胞ではレセプターエデイテイングを認めなかった。 2.各Vk遺伝子領域におけるRAG認識シグナル配列RSS、cryptic RSSの検出 各Vk遺伝子のPCR産物を用い、免疫グロブリン遺伝子再構成に際しRAGがシグナル配列として認識するRSS(recombination signal sequence)、レセプターエデイテイングが生じる際に再発現するRAGの認識シグナル配列cryptic RSSの発現をそれぞれの特異的プライマーを用いて検討したが、いずれも発現が認められず、PBC患者のB細胞ではレセプターエデイテイングを認めなかった事実が裏付けられた。 以上より、PBCの自己抗体産生にはB細胞のレセプターエデイテイングが関与しないと考えられた。
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