2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メデイエイター関連遺伝子発現の空間的・時間的な制御による肺疾患モデルの解析
Project/Area Number |
12770289
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田澤 立之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70301041)
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Keywords | アデノウイルスベクター / プラスミドベクター / 局所への遺伝子導入 / 組織特異的プロモーター / プロスタグランジンI2合成酵素 / トロンボキサンA2合成酵素 / 肺癌細胞株 |
Research Abstract |
肺疾患モデルマウスにおいて組織細胞各々に特異的な遺伝子発現モデルを作り、プロスタグランジン(PG)I2合成酵素またはトロンボキサン(TX)A2合成酵素を各細胞に発現させ、PGI2、TXA2の産生量の変化がどう病態に影響するかの解析を試みた。移植腫瘍モデルでの実験では、大腸癌細胞株C26および肺癌細胞株(LLC)を基盤にTet-onシステムによる発現調節モデルの作成を試みたが、テトラサイクリン投与に対する良好な発現反応性を有する細胞株を得ることが困難であったため、PGIS、TXAS遺伝導入細胞株を用いた移植腫瘍モデルを用いて、両者の基質であるPGH2の合成酵素COX1、COX2を阻害するインドメサシンを経口投与してPGI2、TXA2の産生を調節する系を作った。TXA2遺伝子導入による腫瘍増殖促進・腫瘍血管増生作用はインドメサシンにより抑制され(p<0.05)、COX2阻害剤NS398でも同様の抑制が見られた。PGI2の腫瘍増殖・腫瘍血管抑制作用はNS398投与下で抑えられる傾向がみられた。インドメサシン投与では逆にこれら作用を増強し、C26-Balb/cマウスの系では接種したPGIS遺伝子導入細胞由来の腫瘍は徐々に退縮、消失した。LLC-C57BL/6マウスの系でも同様の腫瘍抑制効果が見られた(p<0.05)。これらの増強作用はPGIS阻害剤トラニルサイプロミン投与で抑制された(p<0.05)。インドメサシンとPGIS遺伝子導入の併用が動物モデルで強力な抗腫瘍効果をもつことが初めて示された。また肺線維症モデルの作成を試み、ブレオマイシン経鼻投与の最適化により、比較的安定したモデルマウスの作成が可能となった。アデノウイルスベクターに変えて肺特異的な発現を実現するためマクロ凝集アルブミン・プラスミドDNA静脈投与を用い、レポーター遺伝子の肺でのより特異的な発現をみた。
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[Publications] Maemondo M, Narumi K, Saijo Y, Usui K, Tahara M, Tazawa R, Hagiwara K, Matsumoto K, Nakamura T, Nukiwa T: "Targeting angiogenesis and HGF function using an adenoviral vector expressing the HGF antagonist NK4 for cancer therapy"Mol Ther. 5. 177-185 (2002)
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[Publications] Pradono P, Tazawa R, Maemondo M, Tanaka M, Usui K, Saijo Y, Hagiwara K, Nukiwa T.: "Gene transfer of thromboxane A(2) synthase and prostaglandin I(2) synthase antithetically altered tumor angiogenesis and tumor growth"Cancer Res. 62. 63-66 (2002)
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[Publications] Usui K, Sasahara Y, Tazawa R, Hagiwara K, Tsukada S, Miyawaki T, Tsuchiya S, Nukiwa T.: "Recurrent pneumonia with mild hypogammaglobulinemia diagnosed as X-linked agammaglobulinemia in adults"Respir Res. 2. 188-192 (2001)