2000 Fiscal Year Annual Research Report
シリカの肺障害におけるインターフェロンガンマとインターロイキン4の役割の解明
Project/Area Number |
12770292
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
出崎 真志 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30251250)
|
Keywords | 肺線維症 / シリカ / インターロイキン4 / インターフェロンガンマ |
Research Abstract |
肺の線維化や肉芽腫の形成においてTh1リンパ球とTh2リンパ球が重要な役割を果たしており、そのバランスが生体内の防御反応や免疫応答に関与していることが報告されている。こうした背景をふまえて、シリカによる肺障害にIL-4とIFN-γがいかに関与しているかを、マウスを使って解明する。本年度は主としてIFN-γの遺伝子欠損マウスとその野生型マウスを対照群として、シリカをマウスの気管内に投与して、3週間後に肺を摘出した。シリカのコントロールとしては生理食塩水を気管内投与した。まず、気管支肺胞洗浄液中の総細胞数はシリカの投与群が生理食塩水投与群に比して著明に増加していたが、IFN-γの遺伝子欠損マウスとその野生型マウスの間に有意差は認められなかった。好中球やリンパ球数についても、同様であった。次に、ヘマトキシリン&エオジン染色により肺の線維化と肉芽腫の大きさを形態学的に評価した。線維化はアシュクロフトのスコアにより定量化し、肉芽腫はミクロメーターにより測定した。その結果、肺の線維化はシリカ投与群で著明に増加していたが、IFN-γの遺伝子欠損マウスとその野生型マウスの間に有意差は認められなかった。一方、シリカ肺において気管支随伴リンパ組織(BALT)は著明に増大しており、そのサイズはIFN-γの遺伝子欠損マウスではその野生型マウスに比して有意に増大していた。これらの実験結果からTh1サイトカインのIFN-γが気道の粘膜の免疫に重要な役割を担っているBALTの形成に抑制的に働くことが示唆された。次年度では摘出肺の線維化を生化学的にも評価するため、肺のハイドロキシプロリンを測定する予定である。またTh2サイトカインであるIL-4の遺伝子欠損マウスを用いて肺の線維化とBALTの形成に与える影響を評価する予定である。
|