2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770325
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
飯塚 高浩 北里大学, 医学部, 講師 (40222806)
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Keywords | MELAS / Stroke-like episode / Cortical laminar necrosis / Neuronal hyperexcitability / Mitochondrial capillary angiopathy / Neuronal susceptibility |
Research Abstract |
ELASは、1984年にPavlakisらによって提唱されたミトコンドリアの機能形態異常に基づく遺伝性代謝疾患である.その中核症状である脳卒中様発作の病態生理は未だ不明である. 我々は,これまで脳卒中様発作急性期の病態について研究してきており以下の知見を得た.1)痙攣及び頭痛が最も多い初発症状である.2)急性期には,大脳皮質を中心とする浮腫性病変として始まり,亜急性期には,層状皮質壊死に相当するMRI所見を高率に認める.3)病理学的に皮質壊死を認める.4)急性期には,焦点性周期性てんかん様放電を高率に認め,同部の局所脳血流は増加するが,慢性期には脳血流は低下し,てんかん様発作波も消失する.以上の結果から4つの作業仮説をたて検討してきた.1.脳卒中様発作は大脳皮質を起源とする発作である.2.脳卒中様発作急性期には,大脳皮質の神経細胞の興奮性は亢進している.3.血管性浮腫類似の病態には,脳血液関門の脆弱性が関与している.4.脳卒中様発作の発現と進展に,大脳皮質内の毛細血管内皮細胞内ミトコンドリア機能障害が強く関わっている. 本研究の結果,側頭葉皮質に生じた大脳皮質病変が,血管支配領域とは無関係に,後頭葉あるいは頭頂葉皮質に連続的かつ緩徐に進展していくことが3回の脳卒中様発作で確認された.このような進展様式は過去に記載がなくMELASに特異な現象であると考えられる.また,この大脳皮質病変は,てんかん発作を伴いながら数週間に渡って進展しており,何れの発作でも層状皮質壊死のMRI所見を認めた.このことから,何らかの原因で神経細胞の興奮性が亢進し,エネルギーの需要が急速に高まる状態が惹起されると,神経細胞自体の脆弱性(酸化的リン酸化障害)も加わり細胞内代謝障害を招き,最終的に皮質壊死に陥ると推測する.また,拡散強調画像検査の結果,急性期大脳皮質病変のafferent diffusion coefficient値が低下していないことから,発作初期から大脳皮質内の毛細血管透輝性が亢進していると推測される.以上より,病初期における神経細胞の興奮性の亢進と浮腫性病変の進展に,mitcondrial capillary angiopathyが関与している可能性がある.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahiro Iizuka et al.: "Slowly progressive migration of cortical laminar necrosis. MRI characteristics for MELAS syndrome"Neurology, Supplement 3(abstract). 56・8. A229 (2001)
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[Publications] Takahiro Iizuka et al.: "Neuronal hyperexcitability in stroke-like episodes of MELAS syndrome"Neurology. (in press).