2000 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症における免疫調節細胞の病態制御機構について
Project/Area Number |
12770330
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 優子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20246507)
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Keywords | 多発性硬化性 / γδT細胞 / NK細胞 / NKT細胞 |
Research Abstract |
目的;γδT細胞は免疫調節機能に携わっている細胞として重要である。我々はこれまで多発性硬化症(multiple sclerosis::MS)患者の末梢血の+γδT細胞がIL-2で良好に増加することを報告したが、このIL-2反応性γδT細胞はnatural killer細胞(NK細胞)の機能をもつと推測されている。本研究の目的は、神細胞、NKT細胞、NKγδT細胞のMS患者における免疫調節機構の関与について検討することである。方法:MS患者、健常者の末梢血より単核球を分離、IL-2(100U/ml)を含む培養液にて1週間の短期培養を行い、MS患者9名、健常者8名について培養前、後でフローサイトメーターを用い、CD16+CD56+陽性細胞、(NK細胞)、CD3+CD56+細胞(NKT細胞)、CD56+γδT細胞(NKγδT細胞)、CD3+Vα24+Vβ11+細胞(NKαβT細胞)の%を比較した。IL-2反応性T細胞について、K562を標的細胞とした細胞障害活性%を、LDH定量法を用い検討した。結果:MS患者は培養前γδT細胞%は7.89%、培養後38.3%、健常人は6.26%から26.8%であった。CD56+γδT細胞(NKγδT細胞)はMS患者で培養前49.7%から培養後58.44%、健常人は25.35%から培養後37.46%でMS患者では健常人に比し、NKγδT細胞が高値でIL-2反応性も良好。CD16+CD56+細胞はMS患者では25.4%から培養後48.44%、健常人は15.46%から52.26%でNK細胞はMS患者でやや高値であるがIL-2反応性は低下。Vα24+Vβ11+細胞はMS患者0.03%、健常人0.06%でありMS患者で低下。1例のMS患者で寛解期→増悪期→ステロイドパルス後で経過を追った。培養後の結果であるが、γδT細胞は49%→75%→24%となり、NKγδT細胞も29%→42%→12%と増悪期に高値となり、パルス後は寛解期よりさらに低下。細胞障害活性%は31%→84%→10%とγδT細胞、CD56+γδT細胞の変化と同様の変動であった。CD3+Vα24+Vβ11+細胞はこれらと相反し、寛解期0.04%から増悪期0.02%と低下。結論:MS患者の一部ではNKγδT細胞が細胞障害性に働き、病態に関与している可能性が考えられた。今後Th1/Th2バランスの有無について検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 清水優子 その他: "高伝性抗レトロウィルス療法が有効であった後天性免疫不全症候群にともなう進行性多重性白質脳症の1例"臨床神経学. 40巻8号. 821-826 (2000)
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[Publications] 清水優子 その他: "急性散石性脳脊髄炎における免疫吸着療法の有用性"東京女子医大誌. 70巻臨時増刊. E386-E392 (2000)
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[Publications] 清水優子 その他: "免疫フロブリン大量療法を施行したCIDP患者末梢図りVIP球サフセトの変化"神経免疫学. 8,. 132-133 (2000)